学園祭一色の9月終盤から10月初めを飾った「小さな白板(ホワイトボード)」、ラインナップです。謝恩会の動画では、この白板のことも紹介してくれた1年生の優しさにウルウルしたオオバでありました。
9月28日(月)
黒板の溝に溜ったとりどりのチョークの欠片(かけら)一息に捨つ
田中拓也

田中拓也さんの歌集「青波」より。教師としてのコロナ禍の日々がつづられているところは、自分が西遠で味わった様残なことを思い出しながら読みました。今再び平穏な学校生活が戻ってきたことを思うと、本当にあの頃は大変だったな、と思い出すこともできますが、あの頃の苦しさ、閉塞感を思うと、心が痛くなります。
9月29日(火)
真夜中のニュースキャスター「またあし・・・・・・」でCMになる 僕が「た」と言う
千葉聡

ちばさと先生の「微熱体」に収められた短歌。「百人一首バトル」で石川美南さんが選んだ100首の中で再び出会い、くすっと笑いました。実際に、この短歌を見て、「先生、今日の短歌、面白かったです!」と感想を告げに来てくれた生徒もいました。告白すると、私も時々、アナウンサーの言いかけた言葉を補正してしまうことがあります…笑。
9月30日(水)
水と油って仲悪さうに言ふけれどそれがなければ生命もない
永田紅

永田紅さんは、いずれも歌人の永田和宏さん・河野裕子さんのお嬢さんで、ご自身も歌人であり、同時に生化学研究者です。
水と油…、確かに二つがなければ生命はない! 学園祭準備で忙しくてギスギスしている生徒たちにも気付いてほしいなと思い、9月最後の日の白板に書きました。
10月1日(木)
まわるまわるよ地球は回る西も東も関係なしに
小塩卓哉

作者の小塩さんは、1960年生まれとありますので、私とドンピシャ同世代です。中島みゆきさんの「時代」のメロディでそのまま歌ってしまいそうなこの短歌、「西も東も関係なしに」という下の句にやられました!「西とか東とか小さなことで目くじら立てないで!」というメッセージに聞こえました。世界平和、戦争反対ーいろいろな表現方法で訴えていかなくては、と思います。
10月2日(金)
道、は歩いてゆく地面のことで わたしがゆくことそのものでもある
初谷むい

この歌を読むと、高村光太郎の「道程」を思いだしますね。
僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る
光太郎のこの詩を踏まえて、初谷さんの短歌を味わうと、「道」は、物理的にこの目の前にある「物」であり、と同時に、「行為」として「行くことそのもの」を指すのだという力強い宣言を感じました。
10月5日(月)
声あわせ「ぼくらはみんな生きている」生きているからこの国がある
俵万智

前期最後の短歌は、俵万智さんです。
今度は「手のひらを太陽に」の歌が頭の中に流れる歌。生きているからこの国がある、という宣言もまた、一人一人の人権を思い、平和が恒久に続くことを願う気持ちが満ちていて、強く共感する歌でした。
「子どもたちの命が、戦争で奪われないことを心から願う…今日、終戦の日。」と、今年の8月15日の旧ツイッターで発表された短歌です。

