名優が逝く

高倉健さんに続いて、
菅原文太さんの訃報まで。
ショックです。
さびしいです。
菅原文太さんといえば、私は何といっても大河ドラマ「獅子の時代」(1980年)です。
NHK初出演で、初主役、会津藩士の平沼銑次(せんじ)を演じた文太さん、
不器用で、熱くて、ひたむきで、正義感だけで突き進む、曲がったことの大嫌いな男。
かっこよかったです。
架空の人物を主役に据えて、見事に時代の真実を描いたドラマでした。
山田太一が大河ドラマを書いたのはこの一作だけですが、
会津藩と薩摩藩の二人の男(架空の人物)を時代の中で駆け抜けさせ、
テーマ曲を当時売れっ子だった宇崎竜童さんが担当、
パリの駅に突然侍たちを登場させるというロケまで敢行した、
非常に斬新な大河でした。
今も「獅子の時代」のテーマ・宇崎竜童のボーカルによる挿入歌が
私の頭の中で再生されてます。
生徒にとってはまさに知らないおじいちゃんだろうけれど、
高倉健、菅原文太、児玉清、緒方拳、鶴田浩二、笠智衆、志村喬などなど、
実に味わい深い、私の好きだった名優さんたちが
すでにこの世を去ってしまいました。
しかし、彼らの作品は、
彼らが亡くなった後も燦然と輝き続けます。
いつか、往年の名作ドラマをぜひ見てください。
今は亡き俳優さんたちの重厚な演技に驚かされるはずです。
近いところでは、
「龍馬伝」の児玉清の感情を抑えた名演技。
私が若い頃出会ったドラマとしては、
「獅子の時代」の菅原文太のアウトローな主人公。大原麗子さん演じたおもんさんも哀しくて美しかったです。
「黄金の日日」の鶴田浩二、緒方拳は、利休と秀吉として対峙。
鶴田浩二は、「男たちの旅路」で特攻隊の生き残りのガードマンとして無骨な男を演じ切りました。彼に反発する若者役が、水谷豊でした。
「ながらえば」「今朝の秋」の笠智衆は本当に泣けます。
けれど、さびしいですね。
文太さん…。今も、銑次のようにどこかを走り抜けているんだと思いたいです。