稽古初めの茶会「初釜」

先週の火曜日は,今年初の茶道部活動日でした。年が明けて最初に行われる『初釜』です。ということで,稽古初めの茶会を開きました。 今まで茶道部を引っ張ってきた高校2年生の5名が,3月の引退前に「茶会を開きたい!」と切望し,9月の『傘寿の茶会』以来,ようやく実現しました。お客様は普段お世話になっている学年の先生方6名(+茶道部中学生)。これまで稽古を積み重ね,身に付けてきたお点前を披露する機会となりました。

早速,ご挨拶から・・・床の設えについて丁寧に説明します。

  • 「床は約300年前に表千家長生庵五代不識斉によってかかれた不二山の絵です。宝永山はまだありません。」
  • 「青い植物は蓬莱飾りです。植物名はヒカゲカズラです。」
  • 「香合の代わりに丑年なので天神様の浜松張子を飾りました。うしは学問の神様である天神様のおつかいです。」
  • 「風呂先屏風は万葉カルタです。」

「百済の野 萩の古枝に 春待つと 居りしうぐいす 鳴きにけむかも   (山辺赤人)」

絵:小林古径(こばやしこけい)

「青丹よし 奈良の都は 咲く花の におうがごとく 今さかりなり    (小野 老)」

絵:平福百穂(ひらふくひゃくすい)

「なぐわしき 稲見の海の 沖津なみ 千里にかくりぬ 大和しまねは  (読み人知ず)」

絵:野田九浦(のだきゅうほ)

「わがそのに 梅の花散る 久方の 天より雪の ながれくるかも     (大伴旅人)」

絵:前田青邨(まえだせいそん)

「東の 野にかぎろいの 立つみえて かえり見すれば 月かたぶきぬ  (柿本人麻呂)」

絵:安田靫彦(やすだゆきひこ)

文化勲章を受章した画家の作品も含まれる絵札が目を引きます。
隣で琴部の音色が響く中,長くて難しい説明をし終えました。

「ただいまからお薄一服差し上げます」

それぞれの持ち場で,高校1年生,2年生が忙しく動き回ります。半東も…水屋も…

この日のお菓子は『おしる粉』(写真を取り忘れました…)

先生方からは「お餅がやわらかくて美味しかった。」「これまで食べたおしる粉の中で一番おいしかった。」と大好評でした。
無事に茶会を終えた高校2年生たち。このあと,自分たちも美味しいおしる粉を頂きました(なんと全員おかわりもしました!)。先生方の前でお点前するのはかなり緊張したようですが,それを感じさせないほど落ち着いてできていました。毎週茶道部の活動を楽しみにしていた高校2年生たちは,残り少ない活動日に寂しそうな様子です。

そんな高校生たちは今日から定期テストが始まっています(中学生は明日明後日)。

そして南館では,大学入学共通テストを終えた高校3年生が,次の私大一般入試,国公立二次試験に向けて,更なる努力を続けています。家庭学習期間に入っても普段通り登校し,自教室で自学に励む生徒たちのうしろ姿は,大変凛々しく勢いが感じられます。

無事に大学入試を終えることができますように,無事に卒業式を迎えることができますように・・・・・心からそう願うばかりです。

文責 平池智恵