小さな白板2023 第3週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」。現在図書館は「蔵書点検」中で貸し出しができないので、訪れる人も少なくて、ちょっと寂しい白板です。

1月16日(月)
 冬の朝の机は冷えてそこに手を置くときに知る自分の熱さ  千葉 聡

週のスタートは、ちばさと先生の短歌です。教室の机の冷たさと、自分の熱の対比。冬の朝だからこその感覚ですね。生徒の皆さんは、教室の中で春夏秋冬をどんなときにどんなふうに感じているでしょう。季節をふっと感じた時、短歌や俳句、詩が生まれるのかもしれませんね。

私は、自宅から西遠までほぼ西を向いて運転します。そんな私の冬の朝の楽しみは…、冬の朝の出勤時、東向きの家々がみんな朝日に照らされて微笑んでいるように見える景色!家々が朝日にあいさつしているみたいに見えるのです。この景色と感覚を短歌にしたいと試みていますが、まだ全然仕上がりません…。

1月17日(火)
  ぼくにだけ朝の光は重たくて明日はザムザになりそう、ごめん   佃 尚実  

ザムザとは、カフカの「変身」の主人公の名前です。ある朝自分の部屋のベッドで目覚めたグレゴール・ザムザは、自分が巨大な毒虫になってしまっていることに気づき、困惑します。家族はそんな彼を見てパニックになり…。

朝が来るのがつらい人だっていますよね。朝の光は美しいけれど、自分には重すぎる。明日はザムザのように巨大な虫になってしまうかもしれない…と想像する「ぼく」。では、「(動けなくて)ごめん」は誰に言っているのでしょう。やはり一番近くにいて、いつも心配してくれる家族なのではないでしょうか。

この短歌は、2022年12月18日の朝日歌壇に掲載されていた短歌です。この日の朝日歌壇には、家族がテーマになっている短歌がいくつかあり、私も何首か書き留めました。ということで、明日に続く…。

1月18日(水) 
  夕飯は「アルモンデ」という料理よと冷蔵庫開け妻笑い言う    前川秀樹

アルデンテ、かと思いきや、アルモンデ? イタリア語のお料理かなあと思ったら、「あるもので」なのです。思わずぷっと吹き出しちゃいました。なんて、明るく楽しい奥様! それをカタカナでチャーミングな短歌にしてしまう旦那様! いいご夫婦、いいご家族だなあと思いました。こちらも、12月18日の朝日歌壇より。ユーモアのあるご家庭っていいですね。

1月19日(木)
 大雪でたおれたハウス前にして初めて見たよ祖父の涙を   宮澤源(小6) 

「第10回自然と清流・果実の里やまなし短歌大会」の小学生の部で「山梨市長賞」を受賞した小学6年生の宮澤源さんの短歌です。自然の猛威大事な生活を奪われることがあります。おじいさまの悲しみや悔しさの深さを「初めて見た涙」で痛いほど感じている作者。こんな光景に出会うことは本当に辛いですが、作者の家族を思う心が伝わってきて、ぐっと来た一首でした。

また日本列島に大雪の予報が出ています。どうぞ被害がありませんように、と祈るばかりです。

1月20日(金)
 チューリップは母と並んで植ゑる花つまづかないでと時どき言ひて 河野裕子

その家族にだけある四季の行事。歌人の河野裕子さんにとっては、お母様とチューリップを花壇に植えることが毎年の習いだったのでしょう。チューリップは作者にとって母との大事な花なのですね。皆様には、そんな家族の行事や特別な花はありますか?

庭作りとか花を育てるということから逃げ回っていた面倒くさがり屋の私なので、母と一緒に花を植えるなんてことは今までなかったのですが、長らくプランターで花を育てていた母が、数年前「もう歳とって大変だから花はやめた」とプランターを全部処分してしまいました。そうなると、つまらないなあと思うへそ曲がりの私、昨年からちびちびとプランター(買ってきた!)で花を育てております。今年はちゃんと咲くかな、と思いつつ、チューリップの球根その他を年末に植えました。ムスカリの芽が出始めて、嬉しくなっています。

今日は大寒。36年前、私が母になった日。なんでもなかった1月が、その日から大事な月になりました。娘の誕生日を祝いつつ、自分の記念日にささやかにカルピスで乾杯しました。

来週はテスト週間だから、図書館を訪ねる人はもっと減ってしまって、さらに寂しい白板です。が、毎日心を込めて短歌を書いて出しますから、生徒の皆さん、ガラス越しでもいいので見てくださいね。素敵な短歌を仕込みますよ!