小さな白板2026 第10週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」は、今週、東京大空襲や東日本大震災という悲しみの日を迎えました。緊迫した世界情勢の中で選んだ言葉もありました。第10週を振り返ります。

感情、言葉…短歌にちりばめられたこのキーワードから、昨年何度か生徒の皆さんに紹介した恐山菩提寺院代の南直哉さんの言葉を思い出しました。「感情というのは液体だと思います。器に入れないと、その重さも色も味もよく分からない。自らの感情に意味を与えるためには、器すなわち言葉が必要なのです。」という南さんの言葉をかみしめながら、この東さんの短歌は、感情と言葉をしっかりと握りしめた人の歌だ、と思いました。(ここまで書いて、南さんと東さん、お二人とも方角を表す名字だ!と変な発見をしてしまいました!)

81年前の東京大空襲の日。作者の佐田さんはお母様から何度も何度も戦争体験を聞いて育たれたのでしょう。かみしめるように話す、今は亡きお母様の戦争体験。それを歌に記す作者。直接過去の助動詞「き」がこんなにも強く迫ってくるのか、と圧倒される思いで、この短歌を白板に書きました。「短歌研究」2025年5・6月号に掲載された佐田公子さん「三月十日」より掲載。

スペイン首相のペドロ・サンチェス氏の演説から紹介しました。白板の大きさの関係でこの5行だけしか書けませんでしたが、もう少し彼の言葉を長く紹介します。
「暴力の連鎖は断ち切れる。平和を理想主義と言う人がいるがそれは違う。スペインは憲法や国連憲章を支持。国家間の平和的共存を望む。世界中の市民が願うのは戦争や不確実ではなく、平和と繁栄だ。戦争は一握りの人だけ得をするが、平和は人類すべての幸せに貢献するからだ。」
戦争と平和についてこんなにもストレートな演説、心に響く演説があるだろうかと、心を揺さぶられました。私は、平和を希求する姿勢を大事にしたいと思います。

11日のスペインのサンチェス首相が平和の大切さを説いた2026年。先人たちもまたさまざまに「平和」について発信しています。この日は、アインシュタイン(1879年 – 1955年)の言葉を紹介しました。力ではなく、理解し合うことで解決しなくてはならないのだ、というアインシュタインの訴えが、今こそ力に物を言わせる各国のトップたちに届いてほしい!

明日はホワイトデーということで、この短歌を書きました。友チョコ、クッキー、レターパック。日常の中にあふれるカタカナ語が自然に短歌を作っていて、その柔らかさに包まれたような安心感を味わいました。まったくの偶然なのですが、注文していた大口さんの歌集「スルスムコルダ」が、白板を書いた夜に我が家に届きました。読むぞ~!