シジュウカラはすごい!

皆さんは、シジュウカラを見たことがありますか?
西遠の木々にもよく現れて、ちょこまか飛んでは、澄んだ声で鳴いているシジュウカラは、お腹に黒い「ネクタイ」がある鳥です。


スズメぐらいの大きさで、この背中の薄い黄緑の部分や、黒白の模様がとってもキュートなシジュウカラ。
このシジュウカラが大変な能力を持っていることを、皆さんご存知でしょうか。
シジュウカラは、文法が分かる!
シジュウカラは、文章を理解する!
京都大学の生態学研究センター研究員の鈴木俊貴さんを中心とした研究グループが、シジュウカラの鳴き声を長年研究し、彼らが文法を持っていて、それをもとに文章を理解する能力を有した鳥だということを発表したのです。
研究者のコメントとして、「シジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた鳴き声の組み合わせも正しく理解できることを明らかにしました」と書かれています。
詳しくは、京都大学の研究成果のページをご覧ください。→こちら
恥ずかしながら、私はカメラで鳥を写す趣味を持つにいたるまで、小鳥の声に全く興味がなく、鳴いていれば雀だと思っておりました。
デジカメで梅の写真を撮っていた時、メジロがやってきて、初めて鳥をカメラに収めることができた時から、急に鳥に興味を持つようになりました。
だからと言って、すぐに鳥の鳴き声で鳥の種類を判別できるようにはなりません。
ゆっくりと、だんだんに、セキレイとシジュウカラ、そしてカワラヒワの鳴き声が分かるようになってきた程度です。
そのシジュウカラの鳴き声を研究し、鳴き方の意味や文法について研究している方々がいるということを、今年になって知りました。
シジュウカラがすごい鳥なんだということも、こうした人々の長年の努力の日々があればこそ分かったことです。
まだまだ日頃見ている世界の中にも私たちが知らない事象がたくさんあって、研究というものは本当に星の数ほどあるのだなあと思います。
「警戒しろ!」(ピーツピ)、そして「近づけ!」(ディーディー)
シジュウカラのこの二つの鳴き声の聞き分けぐらいは、せめてこれからできるようになりたいなあと思っています。
鳥がその人の世界を大きく広げ、人生の転機をもたらしたエピソードがあります。
ノーベル賞作家大江健三郎さんの息子の光さんは、脳に重い障害を持って生まれてきて、何も言葉を発しないお子さんだったそうです。
そんな彼が繰り返し聞いていた一枚のレコード。
それは鳥の鳴き声が淡々と紹介されているものだったそうです。
レコードで毎日聞いていた鳥の声を、避暑地で聞いたとき、初めて幼い光さんが「クイナです」とレコードのアナウンサーさながらの言葉を発したというエピソードは、鳥の鳴き声という話題が出るたび思い出すものです。
また、数年前に学園に講演会に来てくださったエッセイイストの三宮麻由子さん。
彼女は病気で光を失いましたが、ソウシチョウとの出会いがきっかけで生きる世界が広がったといいます。
鳥のさえずりによって空の大きさが分かるようになった、と彼女は言いました。
日頃、鳥に興味のない方も、これから少し鳥を観察してみませんか。
鳴き声に神秘を感じたり、生態に興味を持ったり、その方向は様々だと思いますが、
小鳥たちの存在を意識しただけで、もしかしたら世界がぐんと広がるかもしれません。