中学生が思う「戦争」と「平和」

去る5月29日(土)に行われた「中学講堂朝会」の感想文をご紹介します。この日、私は「西遠と戦争」をテーマにお話しました。殉難学徒慰霊式や、その直前に行われた高校講堂朝会の感想を取り上げた私の訓話を聞いて、中学生たちは「戦争」「平和」について、それぞれの思いを文にしてくれました。

どうしたら戦争はなくなるのか?
  • 今日校長先生の戦争についてのお話を聞いて、慰霊式は終わったけれどもう一度戦争について考えてみました。まず戦争は、同じ人間同士が争い、多くの命を奪う恐ろしいものです。戦争をしてはいけない、そんなの当たり前のことだと私は思っていました。しかし、そうではない考え方の人が世界にはたくさんいて、戦争は今でも続いています。国同士の仲が良くないとか、相手国が自分の国を侮辱してきたとか確かに問題はたくさんあると思います。だからといって、戦争をしてもいいのでしょうか。そんなはずがありません。それでも人間は、自分に都合の悪いことがあるとだれかを悪者に仕立て上げ、みんなで指をさして「あの人のせいだ」とじぶんは関係のない感じを出します。日本だけでなく、世界中が協力し合えたなら、戦争という恐ろしいものもなくなるのではないかなと思います。(中学2年生)
ヒロシマに思いをはせる
  • 私は小学生の時から戦争について少し興味を持っていました。興味を持ったきっかけは小学校6年生のときの夏休みに家族で広島に行ったことと、広島県出身の知り合いから話を聞いたことです。広島では原爆ドームや原爆資料館に行きました。その時見た光景は今でも忘れられないくらい衝撃的でした。そして、母の知り合いの広島県出身の方に、広島の戦争についてのお話をうかがいました。その方は経験していないのですが、その方の祖父母さんが経験していて、聞いた話をさらに私にお話してくださいました。そのことを今回の講堂朝会でのお話のときに思い出しました。(中学2年生)
  • 二度と戦争はおこしてはいけない、そのことを今でも伝えてくれるものがあります。原爆ドームです。広島にあるあの建物は、戦争の破壊力を教えてくれるものです。世界遺産にも登録されていて、私もあの建物を見たときはびっくりしました。元の形がどうだったのかもわからないくらい破壊されていて骨組みだけが残っている感じでした。これは戦争の恐ろしさをすごく伝えてくれる建物でした。(中学2年生)
西遠で3年間を過ごして…
  • 自分が一年生の頃に、ひいおばあちゃんに戦争体験の話を聞いたことを思い出しました。ひいおばあちゃんは戦争当時二十歳よりも小さかったと記憶しています。聞いたときにひいおばあちゃんは、泣きながら話をしてくれました。その姿を見て心が痛かったです。戦争は当時の自分からは、かけ離れていて想像するのが難しかったです。それが1年生、2年生、3年生となっていくうちに、想像するのは今でも難しいけれど、戦争が色んな人達に与えた影響などは理解することが出来るようになりました。西遠に入学してから戦争と向き合う機会が出来ました。そのたびに西遠に入学していなかったら、こんなに深く考えていないと思います。そこがこの学校の良さだと思っています。これからも先輩方が受け継いできてくださった、戦争への気持ち、これから私達がしていかなければならないこと。 しっかりと自分たちが後輩へと引き継いでもらえたらいいなと思います。(中学3年生)
  • 私が、中学一年生のときに祖父母に戦争体験を聞きましたが、なかなか聞きづらかったのをおぼえています。戦争についてたくさん教えてくれたが、どのお話も残酷で今では考えられない話ばかりでした。祖母がまだお腹の中にいるころ、祖母の父が戦争に行き、帰ってきたのが祖母が6歳のときだったそうです。その話をきいて、とても心が痛くなりました。 今、「戦争なんて昔のこと」「自分とは関係ない」と思っている若者がやっぱり多いそうです。私も西遠に入るまでは戦争について考えることが全くありませんでした。でも、西遠に入ってから、平和の作文や慰霊式など戦争に関わる機会が増え、詳しく知ることができました。これは本当に貴重な体験だと思います。これから高校1年、2年3年と平和について考える機会があります。そこで教わったことを戦争を知らない世代に伝えていく必要があります。(中学3年生)

今日は中学2・3年生の感想をご紹介しました。戦争について、西遠に入らなかったらあまり関心を持たなかったかもしれない、という生徒たち。体験を聞いたり、戦争に関する本を読んだりすることは、すごく苦しいことなのですが、それをあえて西遠が続けているのは、何よりも「平和」の尊さに気付いてほしいからです。ご家族と広島を訪ねた生徒もいて、そういう個人的な体験も「平和の継承」のためにはとても大事なことだと改めて思いました。自分自身もはるか昔、小学6年生の時に広島を訪れたこと、その体験を市内の小学生話し方大会(弁論大会の小学生版)で発表したこと等を懐かしく思い出しました。あの資料館の衝撃的な展示と、言葉を失くすような感覚、忘れたくありません。

中学1年生の感想も力作ぞろいでした。次の機会にご紹介します。