小さな白板2022 第20週 +α

学園祭準備に忙しい生徒たちを、図書館で迎える「小さな白板(ホワイトボード)」、今週は動物特集でした!(生徒の皆さん、気づいてました?)

9月20日(火)  大空に見事なVの隊列は希望はあると地上に告げて    春日いづみ

週の最初は「鳥」です。渡り鳥のVの字を見上げながら、それが地上へのメッセージのように感じる作者。あの大きなVの字は、ストイックな鳥たちの作り上げる「自然の芸術」なのではないでしょうか。地上で苦しい思い、悲しい思いをしている人に、「希望はあるよ」と無言のうちに伝えてくれているような美しさだと思います。渡り鳥のVの字、最近見ていないように思います。空を見上げる時間も人間には必要ですね。「短歌研究」2022年5月号には、春日ひとみさんの渡り鳥の短歌が何種も連なっています。これから冬に向けて、他の短歌も紹介しますね。

9月21日(水)  どの猫もわたしが好きにきまつてゐる尻つぽ立ててゑのころ草の中  河野裕子

二日目は「猫」。猫ってかなり気位が高いと思いますが、皆さんはどう思われますか? 「わたしが好きに決まってゐる」は、猫でしょうか、作者でしょうか。猫も人もどっちも自尊心・自信があって、つんとしている、そんな姿が実はとてもチャーミングなのです。河野さんの短歌にも、いつもプライドの美しさを感じます。この頃猫派のオオバです。

9月22日(木) 
  にんげんといぬそれぞれのながーいかげふたつを追っていえまでかえる   佐佐木幸綱

3日目は「犬」です。佐佐木幸綱さんの愛犬テオ。この短歌も「短歌研究」2022年5月号で出会いました。「朝五時のテオ」と題された短歌に、犬と作者の生活が素朴に描かれています。犬との散歩で感じる四季。「ながーいかげ」、そしてひらがな遣いが、優しい雰囲気を醸し出しています。全幅の信頼でテオと佐佐木さんは結ばれているのだと思いました。この短歌を味わいながら、今まで飼ってきた犬たちのことを静かな気持ちで思い出しています。

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ここからは「+α」です!

10月1日(土)・2日(日)の「西遠学園祭2022」。コロナウイルス感染防止のため、「事前登録制による限定公開」「オンライン公開」を行います。オンラインのホームページが一部公開になりました。実行委員会の部門長たちが日々準備状況を更新していますので、ぜひご覧ください!

ものづくりに励むたくましき乙女たちと、学園の秋の果実と花たちをどうぞ。