講堂朝会 & 小さな白板2023 第13週

本日、1時間目に「役員認証式」が行われ、引き続き、今年度第1回の全校講堂朝会でした。
今日の訓話の冒頭、この講堂朝会のすぐ後に行われる「生徒総会」(中学2時間目、高校3時間目)を前に、生徒会活動への「自分事」としての参加を呼びかけました。生徒会活動は、主権者教育の最たるものです。一人一人が参加する姿勢を考えてほしいという意味で、私は一冊の本を紹介しました。 「ハチドリのひとしずく いま、私にできること」 という本です。

ハチドリのクリキンディの「わたしはわたしにできることをしているだけ」という言葉やその行為を、果たして笑うのか、それともクリキンディから学ぶのか。「生徒会会員」として、未来の「主権者」として、そして「地球市民」として、考えてほしいことです。

訓話の大部分は、3月26日に行われた「同窓の集い」第2部でご講演くださった漫画家・文筆家のヤマザキマリさんのことでした。お母様のこと、ご自身の若い日のこと、研究熱心な性格、そして著作の「ウーマンズスタイル100」からヤマザキさんご自身が紹介した内外の偉人たちのこと。

広岡浅子、兼高かおる、茨木のり子、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソン、RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグ、アメリア・イアハート、アンゲラ・メルケル…etc。女性という壁、人種という壁、職業の壁、…様々な壁を乗り越えて後進のために道を拓いた女性たちを、訓話ではヤマザキさんの説明をお借りしながら紹介しました。その中で、RBG(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)の言葉を、私は今日の「小さな白板」に書きました。後ほど紹介しますね。

最後に訓話の中で紹介したのは、講演会の最後に行われた「質問コーナー」で、同窓生に混じって参加した西遠生がヤマザキさんにした質問とヤマザキマリさんの答えです。

Q「10代のうちに大切にした方がいいことは何ですか?」
A「石橋をたたきすぎないで。失敗や屈辱、自分の存在を苦しめる存在などを、端折らないで。それらは必要なこと。10代でなければ向き合えない『不幸』なんです」

とても大事な質問を生徒はしてくれました。そして、ヤマザキさんの答えを私は忘れないでしょう。中高6年間を過ごす生徒たちにもぜひ伝えたいと思い、最初の講堂朝会で紹介しようと待っていました。「失敗しないように注意しなさい」「下手なことをしないで、そつなくやりなさい」という教えとは正反対の内容です。今を生きる10代の皆さんには驚くような回答かもしれませんが、私はとても共感しました。西遠は「安心して失敗できるところであり、どんどんチャレンジしてほしい」と中学入学式でも私は新入生に話しました。失敗や屈辱を避けるのではなく、むしろ味わいなさい、というヤマザキさんのアドバイスを、生徒の皆さんにはぜひ心に刻んでほしいと思います。

さて、この一週間の「小さな白板」に話題を移しましょう。

4月10日(月)
難波津にまず花が咲きゆき・さくら・もみじが畳の上へ降りつむ   天野慶

百人一首部の皆さんには情景が浮かぶ短歌ではないでしょうか。競技かるたでは、「序歌」として「なにはづに咲くやこの花ふゆごもり今を春べと咲くやこの花」という歌を試合の最初に読手が読みます。だから、作者は「まず」難波津に「花」が咲くとうたっているんですね。そして、百人一首の100首には雪も桜も紅葉も歌われます。大会の選手たちにその風情を味わう余裕はないけれど、読まれる和歌の一首一首の景色を映像にしたら、なんと豪華な四季!と贅沢に想像してしまいます。新年度の授業開始を、この贅沢な歌で祝福させていただきました。

4月11日(火)
抜かれても雲は車を追いかけない雲には雲のやり方がある    松浦正直

雲には雲のやり方があるなら、人には人それぞれのやり方・生き方があったいいよなあと、何だかほっとさせてくれる短歌です。焦らず、マイペースで行きましょう。

4月12日(水)
いろはすは卓に置かれてぺこぺことさざなみの輪をひからせており  富田睦子

「いろはす」のペットボトルは本当にぺこぺこしていますよね。どこかのおうちの食卓に「いろはす」がぽつんと置かれているだけなのに、そのペットボトルが光のさざ波の輪を作っている。何気ない光景の中の美しさに気づく心を、私も持ちたいと思います。富田睦子さんの短歌は、いつも日常生活をサッと切り取り、とても素敵な場面を作りだしているので、あこがれます。

4月13日(木)
一皿に中華、フレンチ、和食を盛る 世界平和もきっとこんなふうに  千葉聡

歌人で高校教師の千葉聡先生が、サイエンスフロンティア高校の修学旅行に行かれ、旅先で詠まれた短歌です。バイキング形式のお皿には、万国のお料理が並びます。世界の人々も地球という同じお皿に乗っています。他者を攻撃するのではなく、多様性を受け入れ、皆で生きていけたらいいなと心から思います。国際理解、国際交流への思いを込め、ポーランドからのお客様をお迎えしたこの日の図書館に飾りました。
(ちばさと先生、先日は、Twitterで「小さな白板」をご紹介くださり、ありがとうございました!ツイッターを見ていたら、どこかで見た字が出てきまして、自分の白板のスクリーンショットだと気づき、オオバ、思わずキャッと叫んでしまいました!嬉しくて照れくさかったです。)

4月14日(金)
湯がお茶になってゆく音聴いている 世界この親しき時空間   雪舟えま

お湯を注いだ急須の中で、静かに静かにお湯はお茶へと姿を変えていく…。その音を聴いている時間のなんと豊かなことでしょう。そういう時間こそ、大事にしたいですね。
今夜は、オーストラリアのお土産にもらった紅茶を、ひとりゆっくりと飲んでおります。

4月15日(土)
女性は、意思決定が行われるすべての場所にいなくてはなりません。
   ルース・ベイダー・ギンズバーグ

講堂朝会で紹介したRBGことルース・ベイダー・ギンズバーグ の言葉です。彼女は1933年3月15日に生まれ、2020年9月18日に亡くなりました。元アメリカ 連邦最高裁判所判事です。性差別の壁に何度も阻まれながらも、不撓不屈の精神で、一生を法律家として過ごし、いつも弱者のことを思いやった彼女の言葉です。社会の中のすべての場所に女性がいるべきだと強く主張しています。私たちの周りはどうでしょう。ルースの声を聴くべき人は、アメリカにも日本にもたくさんいるのです。女性である私たちは、ルースの努力や苦労を知ること、そして彼女の後に続くことがとても大事なのだと思います。

講堂朝会から白板紹介まで、少し欲張ってしまい、更新が遅くなってしまいました。それでは、おやすみなさい。