小さな白板2026 第24週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」第24週は、日曜の中学オープンスクールから、土曜の高校オープンスクールまで。月曜から土曜は隠しテーマあり。わかりますか?

第1回中学オープンスクールの日、図書館を訪ねてくれる小学生の皆さんにも親しみやすい短歌にしようと思い、「母」の漢字をテーマにした短歌を書きました。「母」という漢字は、画数も少ないのに、すごくバランスのとりづらい難しい漢字ですね。そうか、海を想いながら、最後の一本棒を水平線のように引けばいいんだ、と漢字の書き方の極意を知って「もや」が晴れた気分です。

寺山修司というと、ある卒業生を思い出します。
国語の授業で出会った寺山修司に惹かれて、「今、寺山修司の歌集を読んでます!」と報告してくれて。あの時はとっても嬉しかったよ!
この短歌の作者の坂井修一さんは、かっこよく、そして彗星のように生き切った寺山修司(1935年-1983年)という人の才能と行動を、かっこいいと評さず、かわいくてならないと歌います。「かっこいい」が「かわいい」になるのは、いつの間にか憧れのスーパースターよりも自分の方が歳をとってしまったからでしょうか…。

ポール・サイモンとは、「サイモン&ガーファンクル」のサイモンさんです。今の生徒は彼らの曲を聴くことあるのかなあ。私は、映画「卒業」のリバイバル上映を見て、映画本体よりも、そこで流れるサイモン&ガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」「ミセスロビンソン」「スカボローフェア」に圧倒されてしまい、聴くようになりました。この短歌を読んで、久しぶりに「アメリカ」も聴いてみました。サイモン&ガーファンクルは、70年代のあの頃、ある意味「アメリカ」の象徴でもあった気がします。あの頃と今、アメリカはだいぶ変わってしまいました。現アメリカ大統領の傍若無人な振る舞いを見ていると、「しばらくは行きたくもなき国」となったという作者の気持ちに頷いてしまいます。

松本清張は、東京五輪を待つ頃54歳だったのか…と、何だか感慨深く思って、この短歌を書き留めていました。東京五輪は1964年。日本が高度成長期を迎えていたころ、作家松本清張はどんなことを考えながら、五輪準備の光景を眺めていたのでしょう。この短歌は「短歌研究」2021年4月号に載っていました。コロナで2020五輪が一年延期となったこと、その五輪準備の中で様々な問題が聞こえてきて、五輪開催にもろ手を挙げて賛成できない暗い気持ちでいた時だからこそ、40年前の五輪の頃の松本清張はどんな思いだったのだろうと考えたのでしょう。

今日は、夏目漱石登場です。国語の教員として、漱石の「私の個人主義」や「現代日本の開化」などを扱う中で、漱石の言葉が現代の私たちに重くのしかかっているのを感じるようになりました。「正直」という徳義は、世界に共通する。――そう明治時代に漱石が言っていたけれど、今の世界はどうだろう。「それから百年」という言葉には、漱石の小説名「それから」と、「夢十夜」のキーワード「百年」も、しっかり加えられているんだなあとしみじみしながら、「正直」の大切さを改めて胸に刻みました。

6月19日は桜桃忌。太宰治の命日です。東京三鷹の禅林寺の彼のお墓には、この日たくさんの太宰ファンが訪れたことでしょう。
作者が業務日誌の隅にそっと記した「桜桃忌」のメモ書き。上司が反応してコメントを書き添えてくれました。仕事とは別の、文学を通じた素敵なつながりですね。

この短歌は、2023年1月22日の朝日歌壇に掲載された短歌です。2022年カタールで行われたサッカーワールドカップは、11月から12月にかけて開催され、アルゼンチンが優勝を飾りました。メッシが優勝トロフィーをなでる様子を歌ったこの短歌を書き留めた時、まさか4年後のワールドカップに彼が出場するなんて、しかもハットトリックを決めるなんて、想像もしませんでした。メッシ、6月24日で39歳だそうですが、この後もきっと大活躍することでしょう。すごい!

月曜日から土曜日までの隠しテーマは、「固有名詞」でした。寺山修司、ポール・サイモン、松本清張、夏目漱石、太宰治(桜桃忌)、そしてメッシ。気づいてくれましたか?

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