小さな白板2026 第41週

図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」、今週は、予告通り、松村由利子さんの本「SF短歌 時空を超える31文字」の中に掲載された短歌を5つご紹介しました。遥かなものから不気味なものまで、様々な題材と発想の短歌が面白い本です。

「SF短歌」最初の短歌は、松木秀さんの「5メートルほどの果てしなさ」より。「SF短歌」では、「第2章 時間」1 恐竜のいたころ)(p96)に紹介されています。
隕石が地球に衝突する前夜、一頭の恐竜が「星が降る夜だ」と感慨にふけった(かもしれない)という想像が、滅亡の未来を知らない恐竜へのエレジーのような短歌になりました。福井の恐竜博物館に行ってみたい…。

せっかくなので、白板横にジャミラにも登場していただきました。
「15の夜」といえば尾崎豊の歌が真っ先に思い浮かびます。あそこまで暴力的にならずとも、反抗期で手が付けられない息子に泣き崩れる母は一人や二人じゃないはずで、そんな母を見つめて立ち尽くしている15の息子、という構図が浮かびますね。それを「ジャミラのように溶けてゆく」とは、すごすぎる…。ジャミラという怪獣は、水が弱点なのです。ジャミラはウルトラマンに水を浴びせられて悶えながら死んでいきますが、自分の母は自らの涙で溶けちゃいそうになっているという、息子としてはたまらない気持ちがあるんだろうなと思いながら、オーバー過ぎて笑ってしまう要素も多分にあるのです。
ジャミラって、本当は人間だったんですよ…。詳しくは「ウルトラマン」の「故郷は地球」をご覧ください。

校長室には、2体のジャミラがいます。2つともいただきものです。大事にしてます!

「SF短歌」p79には「第1章 宇宙 番外編 いとしの怪獣たち」という項があって、ゴジラやキングギドラ、ジャミラにバルタン聖人などが登場します。一番ワクワクしたページでした!

日本最古の歌集「万葉集」には4500首の歌が載っています。その中で、「月」をテーマにした歌は約200首あるそうですが、星となると、七夕以外にはほとんど歌われていないそうです。星は歌のテーマになり得ないものだったのでしょうか。人々が「星」を歌のテーマにするきっかけは、いつ、何だったのでしょう。

月をテーマにした歌が2日続きました。この短歌は、1958年に発表された短歌です。まだ、アポロが月に到達する10年以上前のことです。そんな時代に60代の作者は「きみたち若い者は月に行きなさい。私は地球に残って年を数えるよ」という歌を詠んだのですね。
土屋文明様、あなたがこの歌を詠んでもうすぐ70年。まだ月に自由に行ける時代は来ていませんが、70年前よりは現実味を帯びてきています。あなたの年齢に近くなった私も、地上に残る方を選択し、若い人々を見送る側になると思います。

大学時代、その名も文明さんという先輩がいました(苗字は土屋ではなかったですが)。いつもベージュのジャージ上下だった先輩…。一回だけ、下宿まで送ってくれたことがありましたが、坂道で息が荒くなった私に「お前、運動不足すぎるぞ」と言われたことが一番の思い出だったりします。土屋文明という名を見かけるたび、「文明先輩、元気かなあ」と思う私なのです。

「SF短歌」ウィークの最終日は、ちょっとドキッとするものを(笑)。ナガツルノゲイトウとかいう繁茂力の強い外来植物の話題もありますから、木々がこんな恐ろしい計画を企んでいても不思議じゃないかもしれませんね。そこの木が揺れているのも、そんな怖い会話中なのかもしれませんよ。

次週白板予告。食欲の秋、食べ物、行きます。