せかいのひとびと

 先週は、高校1年生がエンパワーメントプログラムを体験し、様々な国からの留学生をリーダーに3日間の充実した時間を過ごしました。高校1年生でこのようなグローバル体験ができることをとても羨ましく思いながら、日に日に成長していく高校1年生にとても感心していました。そんなときふと以前にトビタテ留学JAPANの事前研修に参加させてもらったときに会った女の子のことを思い出しました。

 彼女は父がスリランカ人で母が日本人という大阪の高校生でした。父がイスラム教徒のため豚肉が食べられなかったのですが両親の離婚をきっかけに食べるようになったとき、食べてもいいというきちんとした主張ができない自分に疑問を持ち、自分のもつ文化や背景への興味関心と自分のことを誰かに自信をもって話せるようになりたいという気持ちを抱くようになったそうです。そこで多種多様な文化をもつアメリカでどういう主張をしていけるのかを試したり模索してみたいという考えでトビタテ留学JAPANに応募して7期生になったと言っていました。今回エンパワーメントプログラムを体験した高校1年生も留学生との交流を通じてそれに似た気持ちをもしかしたら抱いたのかもしれません。今回のプログラムだけに留まらず、感じた気持ちを何か行動に表せていけたらいいと思います。その女の子が影響を受けたと話していた絵本が多文化共生を考えるヒントをくれましたのでここで紹介したいと思います。

せかいのひとびと ピーター・スピア―

 この絵本には世界中の人々の、顔や髪などの外見の違いにはじまり、おしゃれや趣味の違いも描かれています。また世界中の国々の、遊びや食べ物、家の様子、仕事、言葉、性格、宗教、貧富や身分の差まで描かれ、ありとあらゆる面からの「違い」がわかります。そして最後の見開きの2ページがとても印象的で「みんなちがっているってこんなにすてき」が描かれています。作者のピーター・スピアーさんもユニークなバックグラウンドを持っていて造詣が深い方で、大人でもページをめくるたびにいろんなことを考えます。世界には恵まれない人たちがいるよといった啓発的なメッセージではなく、ひとりひとりがみんなちがっていて、でもみんな同じように生きている地球市民であることを実感できる絵本です。水谷先生にお願いして図書館に置いてもらいましたのでぜひ手に取ってゆっくり読んでみて下さい。

文責 杉田 利通