創立100周年の思い出

明日は3月3日、桃の節句。
西遠の創立記念日です。
今から10年前の3月3日、西遠は創立100周年の記念の時を迎えていました。
アクトシティ浜松の大ホールで行われた創立記念式では、第2部のコンサートに作曲家の服部克久さんがご出演くださり、オーケストラの皆さんと共に素敵な音楽を奏でてくださいました。

今日はその時の思い出をお話したいと思います。
服部克久さんをお招きすることになった大きなきっかけは、平成6年、ダンス部が「次の波が来たら海へ」という創作ダンスを作ったことでした。
生まれたばかりのウミガメの子が海に向かって必死に歩んでいく姿をテーマにした創作ダンス作品は、その年の「ダンスフェスティバル神戸」のコンクール部門で発表され、西遠の作品としては初めて入賞。
全国で10位にあたる審査員賞を受賞しました。
私はこの作品を客席で見たのですが、ひたむきに海に向かう子ガメたちを表現したダンス部員の迫真の踊りに引き込まれ、涙が出たのをよく覚えています。
その作品で流れた音楽が、服部克久さんの「母なる地球 The Earth」という曲だったのです。
部員がたくさんのCDの中から、この曲がぴったり!と選んだのでした。
中学で修了式が行われるようになり、「中学3年間の思い出」を映像で振り返ることになりました。
その映像の全編に渡って流れている曲も、服部さんの曲です。
「淡紅(とき)色の夢 Nipponia Nippon」はとても感動的な曲で、この曲に乗って中学3年生の入学から今日までの映像が流れると、いつもジーンとしてしまいます。
そんな素敵な音楽をお作りになっている服部克久さんが西遠の創立100周年の日にいらしてくださることになり、しかも、せっかくの記念なので聴くだけではなく参加してもらったらどうでしょう、というご提案までいただいて、100周年委員会は大急ぎで動き出しました。
1つは、西遠のオーケストラ部が服部さんの指揮のもとプロのオーケストラと共演して「自由の大地」を演奏すること。
もう一つは、100周年記念合唱団を結成して、これまた服部さんの指揮のもとで、プロ&西遠オーケストラの演奏で「Friends・Love・Believing」を歌い上げる!
という2つのプロジェクトです。
オーケストラ部は、いつもにも増して猛練習を重ねて本番に備えてくれました。
記念合唱団の方は、参加を募ったところ、中学生から卒業間近の高校3年生までが次々立候補してくれ、最終的に101名の団員が3月3日アクトの舞台に立ったのでした。
記念式前日の3月2日には、服部さんが西遠を訪ねて下さり、オーケストラ部員たちに直接指導してくださいました。
私は記念式の責任者を務めていましたので、長い準備期間があって、この日を無事に迎えられたことがとても嬉しくて、そのうえナマの服部さんが目の前にいらっしゃることで非常にドキドキしていたのでした。
3月3日は朝からアクト大ホールにてリハーサル。

写真は、リハーサルで指揮する服部さんです。
オーケストラ部員も、101名の合唱団のメンバーも、真剣にリハーサルを終えました。
楽屋では、「友情」編集委員による服部さんへのインタビューも行われました。
服部さんはとても優しく温厚で、生徒たちの質問にもとても丁寧に答えてくださいました。

午後、いよいよ式典が始まりました。第1部の式を終え、第2部がコンサートです。
「優しさを求めて」
「故郷(ふるさと)に帰りて」
「鯨のボレロ」
そして「淡紅色の夢」
・・・大ホールは服部さんのピアノとオーケストラの皆さん、そしてゲストのジャー・パンファンさんの奏でる美しい音楽に包まれました。
曲の合間には、服部さんが前日に訪れた西遠の印象などもお話してくださいました。
正門で生徒たちが礼をすることに感心したとお話してくださったことを覚えています。
いよいよ、オケとの共演。
「自由の大地」ではプロの方々と一緒に西遠のオーケストラ部の皆が美しいハーモニーを奏でました。
なかでも、重要な役割を担うティンパニーの中学生0さんが、それまでの猛特訓の成果を見事に披露する姿には、とても感動しました。
そして、2曲目、ここで合唱団は何と「奈落」にスタンバイして、せり上がってくるという趣向。
午前中のリハーサルできゃあきゃあ言いながらせり上がったのとは一変、本番はみんな緊張の面持ちでスタンバイです。

せり上がりでステージの奥に合唱団が現れた時には、会場から「ウォー」と驚きの声が挙がり、舞台袖にいた私も鳥肌が立ちました。
「Friends・Love・Believing」の曲が始まりました。

合唱団が歌い出し、後半、手拍子が起こって…、最後は大変盛り上がったのを覚えています。
と言っても、私は袖にいましたので客席は見えなかったのですが、合唱団の生徒たちの高揚した横顔などから、会場が一つになったような盛り上がった空気は、十分舞台袖にも伝わってきました。
一つの曲がこうしてみんなの心を一つにする、それを全身で味わった瞬間でした。

素敵なフィナーレでした。
スタンディングオベーションの写真も残っていて、あとになってその写真を見てさらに感激しました。
服部克久さんと過ごすことのできた幸運、
一緒に音楽を奏でることのできた幸運、
・・・あの時、「一緒に演奏したら、ホントにいい思い出になると思いますよ」とご提案いただいたことに、心から感謝しています。
あれから10年がたちます。
本館の廊下には、その時の写真が一枚、今も飾られています。
100周年記念誌にも、あの日の写真があります。
あの時、アクトの大ホールの舞台に立った生徒たちはみんな元気かしら…とよく思います。
オケのメンバーも、合唱団の一人として必死に歌詞を覚えて手拍子を交えて歌った生徒たちも、本当にいい顔をして輝いていました…。
100年という大きな節目の、とても素敵な思い出です。
明日の110周年の式は、西遠の岡本記念講堂にて、生徒と先生方、そして、西遠を支えてきてくださった関係者の方々でお祝いすることになりました。
今回は、部活動に励む皆さんが、第2部の舞台に立ちます。
琴部、バトン部、ダンス部、ギターマンドリン部、オーケストラ部の各部活の皆さんです。
第2部の司会と照明は演劇部が務めてくれます。手作りのあたたかい式です。
創立記念日を明日に控え、
10年前の大きな節目を経て今があること、
またこれから新たな歴史を皆で作っていくのだということを、
改めて心に刻んでいます。
どうぞ、明日が良い日になりますように…。
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このブログの更新に当たっては、服部克久様よりお写真の使用などご快諾をいただきました!
ありがとうございます。
服部さんのコンサート、また伺いたいと思っております!