花の栞 その1

学校で会えない生徒の皆さんに、花のお話をしたいと思います。私も花をよく知っているとか、園芸の名人とか、そういうことは全くありません。ただ写真を撮るだけの園芸素人ですが、いろいろな花との出会いを綴りながら、生徒の皆さんが花の名前を覚えて、花に興味を持ってくれたら嬉しいなと思って、「花の栞」シリーズを始めたい(不定期で…)と思います。

そう思い立ったのは、ご近所に咲いているテッセンの花の美しさに毎日癒されているからです。

日本画によく登場するこの花は「テッセン」。その名を知ったのは10代の頃でした。やはりご近所の庭先に咲いていたのを登下校の途中に見ていた私は、確か祖母から「テッセン」という名を教わりました。のちに、今は亡き「松菱」デパートでアルバイトをした大学時代、和食器売り場に勤務して、このテッセンの絵柄って和食器に多いなあなんて思った覚えもあります。

いつの頃だったか、テッセンが漢字で鉄線と書くと知って、ちょっとあまりに色気がないじゃん…とがっかりしたのですが、紫のその花は和の色であり花だとずっと思ってきました。

そんな私のテッセン評が変わったのは、2008年のことでした。大藤で有名な「あしかがフラワーパーク」(栃木県)を訪れた時のことです。

おっ、若いオオバ! 2008年5月5日、あしかがフラワーパーク。幻想的な大藤の下で。

この「あしかがフラワーパーク」は、大藤の美しさで有名です。今は浜松フラワーパークの理事長を務める塚本こなみさんが当時園長を務めていて、「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK)でも紹介されていました。藤の話をすると長くなりますので、今回は省略。

家族で初めて訪ねたあしかがフラワーパークには、藤だけでなく、たくさんの花々が咲き乱れ、老若男女が花々をゆったりと愛でる、とても幸福な光景が広がっていました。私もまた、ここでたくさんの花の名前を覚え、写真に撮っていました。そして、再会したんです、テッセンに。

そこには、「クレマチス」と書かれていました。それまでテッセンを和風の花だと信じ切っていた私でしたが、「クレマチス」という名が与えられた途端、この花はなんだかとっても洋風なイメージに変わったのでした。

テッセン→クレマチス。名前を覚えると、世界は広がります。県東部の観光施設「クレマチスの丘」という名が急に親近感を持って感じられ、「そうか、クレマチスを栽培している庭があるんだ!」と初めて知り、行きたい場所が増えました。

そして、去年、「クレマチスの丘」( 駿東郡長泉町 )に、クレマチスが咲く季節に行くことができました。同窓会のバスツアーで訪ねた「クレマチスの丘」には、本当にいろいろな種類のクレマチスが咲いていました。

八重のクレマチス
ピンク色のクレマチスもきれいでした。
でもやっぱりクレマチスの色は紫が第1位だと思います!

「あしかがフラワーパーク」を訪れたことで広がった花の世界。クレマチスは、好きな花の一つになりました。ウィキペディアによると、クレマチスはキンポウゲ科センニチソウ属だそうです。皆さんも、息抜きの散歩の折にクレマチスを探してみてください、案外、近くに咲いているかもしれません。

「花の栞」第1回目は、テッセン・クレマチスでした。次回はいつになるやら(笑)。

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個人的な話ですが、今日は息子の誕生日です。いつもなら会って息子にバースデープレゼントを渡したり、孫たちと遊んだりするんですが、コロナの影響で今年は会えません。もっと切実に家族に会えない状況の方もたくさんいらっしゃることと思います。寂しさや辛さを抱えていらっしゃる方を思うと、胸が詰まります。コロナの終息のために頑張っていらっしゃる皆様に心から感謝致します。