高校生と、戦争と平和を考える ー講堂朝会ー

今日は、1時間目に「高校講堂朝会」がありました。高校生にとっては、4月17日の第1回に続いて、今年度2回目の講堂朝会です。

5月の講堂朝会では、校歌は4番を歌います。生徒手帳を開いて、みんなで4番を歌いました。

をとめ子の こころ明るし ながるるや

五月の風のさはやかに

青葉ぞわたる丘の上に

歌へよろこべ ほがらかに

                「我らの母校」第4番 安部忠三作詞

今日の講堂朝会、訓話のテーマは「戦争と平和」としました。来週5月11日に殉難学徒慰霊式を控えたこの時期には、やはり生徒に「戦争について」「平和について」を話したい、投げかけたいと思っています。この重いテーマを、生徒の皆さん、真剣に聞いてくれました。

昨日、中日新聞「浜松歴史のとびら」に西遠の「殉難学徒慰霊式」が取り上げられました。この記事を全校生徒に紹介しました。戦時中の西遠生のことが詳しく書かれていて、生徒たちが初めて知ることも多かったようです。私自身も、この記事を執筆された山崎章成さんの調査力に圧倒されました。

西遠の生徒にとって黄色いラインと共に制服の特徴となっている「くるみボタン」は、戦争中の絹の供出に伴いスカーフに変わるものとしてデザインされたのです。制服のルーツをこの記事で確認できた生徒も多かったでしょう。私は、このくるみボタンも、西遠の「平和への祈り」だと思っています。残会の講堂朝会に引き続き、校歌や制服という「あって当たり前のもの」の意味について、生徒は考えるきっかけをもらいました。

今日、この記事のほかに私が話題にした本は次の3冊です。

  • 「戦争に翻弄された私たちの子ども時代」(写真右):西遠を昭和28年に卒業した皆さんの戦争体験記の中から、斎藤ようさんの「前書き」と、下山當子さんの文章を紹介しました。
  • 「浜一中51回卒業生の学徒動員」(写真左):私の父も含め浜一中の同期が、学年の雑誌「五一会」に寄せた戦争体験記をまとめた冊子です。2015年に発行されました。

私がこの2冊の体験記を紹介したのは、「戦争」という出来事を書き残し伝えようとしている人生の先輩の思いを、生徒の皆さんに受け止めてほしいからです。年表や記録誌で見る戦争が「横糸」だとすれば、一人一人の体験という「縦糸」も、その真実を知るための大事な存在だと思います。今日は、浜松にどんな戦争の被害があったのかもお話しました。「横糸」「縦糸」の両方を、皆さんに伝えたかったのです。

さらに、高校生には、「戦争」についての知識を地元のことだけにとどめてほしくはありません。トルストイの小説「戦争と平和」(1869年出版)について話し、最後に、写真の中央の本 カントの「永遠平和のために」を紹介しました。

「永遠平和のために」は、1795年に書かれた平和論です。この古典が、のちに国際連合を作る礎となり、日本国憲法第9条の基本理念にもなりました。私たちが「戦争と平和」を考える時、200年、300年、いいえ、それよりもっと前の先人の言葉にも、耳を傾けるべきだと思います。

来週11日の殉難学徒慰霊式を前に、高校生の皆さんに、今日は「戦争と平和」について考えてもらいました。講堂朝会の後、高校生徒会長から慰霊式についての連絡もありました。

生徒会が主催する、すなわち会員である生徒の手で作り上げる「殉難学徒慰霊式」が、一人一人にとって「戦争と平和」についての考えを深め、行動する一歩になってほしいと思います。