小さな白板2023 第19週

テストで始まった第19週。今週はちょっと短歌を離れ、直球メッセージ特集です。

5月22日(月)
「これぐらいなら、まあいいか」という思考は、私たちの生活にプラスをもたらしません。「まあ、いいか」を繰り返していくと「良くないこと」に疑いを持たなくなり、やがては「まあ、いいか」が習慣化されてしまいます。
  栗山英樹

WBCの優勝監督 栗山英樹さんのインタビューのウェブ記事から。「まあいいか」という妥協の怖さを教えてくださってます。テストの週にピッタリの言葉だと思って、白板に書いた金言です。

5月23日(火)
世界一長い夜にも必ず朝は来る/あなたはまた笑うよ/太陽に抱かれて
  アンジェラ・アキ「始まりのバラード」より

いつだったか、この歌をテレビで耳にし、いい歌詞だなと思って書き留めたものです。逆境で思い出してほしい言葉として、テスト中に皆さんに贈りました。

5月24日(水)
謙虚と卑下は違うものなの。自信がないから、自分のことをつまらないものみたいに言って、相手に見くびってもらって楽をしようとするのはやめなさい。それは卑下。とてもみっともないものよ。   

  椹野道流「祖母姫、ロンドンへ行く!」より

ブログで予告したとおり、「祖母姫、ロンドンへ行く!」から素敵なおばあちゃま(祖母姫)の言葉を。謙虚と髭の違いを孫の筆者にぴしっと説くその場面、祖母は孫に、そして筆者は読者に「自己肯定感の作り方」のヒントを与えてくれたのでした。では、謙虚とは?25日に続く…。

5月25日(木)
楽をせず、努力をしなさい。いつも、その時の最高の自分で、他人様のお相手をしなさいよ。胸を張って堂々と、でも相手のことも尊敬してお相手をする。それが謙虚です。
  椹野道流「祖母姫、ロンドンへ行く!」より
(一部略)

謙虚とは、最高の自分で他人様のお相手をすること!その教え、私も胸に刻みました! いくら自分のおばあちゃんでも、そこまで生き方指南をびしっとしてくれる人は珍しいのではないでしょうか。祖母姫の凛とした姿が本当に素晴らしいと思い、自分を見つめ直すことのできた珠玉のエッセイでした。

5月26日(金)
何かにすぐ役立つスキルを追い求めるだけが学問ではない。短いスパンで見ると何に役立つかわからない事でも自分の中に入れておくことによって、長いスパンの中で意味を持ってくるものがある。あるとき、ある道筋でぐるりと全部つながっていく。その種をきちんと自分の中に播いておく。  岩切正一郎

学問って長い長いスパンで、ある時突然意味を持つことがある深遠なもの…。この文章を見た時、いつも理事長が卒業間近の高校3年生にお話する内容を思い出しました。点が線になる、という…。よく「数学の方程式なんか何の役にも立たないじゃん」なんて言ってふてくされている人がいますが、サッと役立つものだけを追い求めていてはいけません。

5月27日(土)
どうか一つひとつの言葉を、蔑ろにせず、大切にしてください。
(中略)自分の気持ちにふさわしい言葉を、丁寧に選ぶという作業は、地味でパッとしないことですが、それを続けることによってしか、もう、私たちの母語の大地を再び豊かにする道はないように思うのです。
  梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」より

週の終わりは「言葉」について。中学の講堂朝会で紹介した梨木香歩さんの本からの一節を紹介しました。言葉を蔑ろにしないこと。ぱっとしないことでも地道に続けることが不可欠。その姿勢でしか、日本語の大地を潤すことはできないのです。

☆  ☆  ☆

来週は雨が多くなりそうです。台風の進路も心配です。
雨の前に、学園のジャカランダの涼やかな花をどうぞ。