小さな白板 第24週

10月11日(月)の国際ガールズデーにちなんで、図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、今週は女の子へのメッセージまたは女の子からのメッセージです。
※なぜ12日から白板が始まるの?という方へ。西遠は5日から11日まで秋休みでした。10月12日から後期がスタートしたのです。

10月12日(火)

映画「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役で大活躍した女優エマ・ワトソンさんは、ジェンダー平等についても多く発言し、「UNウィメン」(国連の組織)の親善大使に任命されています。彼女の国連でのスピーチから、「 男性も女性も、繊細でいられる自由、強くいられる自由があるべきです。今こそ、対立した二つの考えではなく、広範囲な視点で性別を捉える時です。 」という一節を紹介しました。

10月13日(水)

水曜の白板の言葉は、高校の始業式でも紹介した国連広報センターの根本薫所長の言葉です。

将来を考えるときにHOWよりもWHATとWHYを突き詰めてほしいです。目的の職業にどうやったら就けるかよりも、何をやりたいのか、なぜやりたいのか、それを大事にしてほしいです。

国連広報センター所長 根本かおる
東洋経済オンライン2021年10月7日 「国連で働きたい」と「国際貢献がしたい」は違う より

WHATとWHYを突き詰めること。自身と向き合うことが将来を考えることにつながります。

10月14日(木)

少女戦士たちが活躍するアニメーション「プリキュア」の初代プロデューサの鷲尾天さんの言葉です。

女の子がりりしく、自分の足で地に立つということが一番だと思って、プリキュアを作ってきました。子どものときには、意味がわからなくてもいいんです。テレビを見ていた女の子が成長して、思い返した時に「こういう意味だったのか」と気づいてもらえれば。

2016年、日本のジェンダーギャップランキングが111位というショッキングな発表がありました。この報道をきっかけに、朝日新聞の女性記者たちが集まり、何かしなくてはという想い出始まった企画が「Dear Girls」です。紙面とウェブで「Dear Girls」の記事が組まれました。取材に応じた人々のメッセージの中から、この本 (写真)「Dear Girls」には、28人の方々の言葉が紹介されています。その中から、鷲尾天さんの言葉を紹介しました。

この本のきっかけになったジェンダーギャップ111位という数字ですが、その後、順位は回復したのでしょうか。残念ながら、2021年のジェンダーギャップランキングは120位。衝撃を受けた当時よりもさらに下がっています。

10月15日(金)

始業式でお話した「ノーベル平和賞」の中から、ナディア・ムラドさんの言葉を紹介しました。この言葉も、「Dear Girls」に収められています。白板の言葉の前にもう一文あるので、それも含めて紹介しましょう。

寛容で平和な社会を育むには、子どもへの投資が必要です。子どもは寛容や共存を、憎しみや派閥意識の代わりに学ぶことができます。女性参加もあれば、社会は変えられるのです。

「Dear Girls」より ナディア・ムラド ノーベル平和賞受賞式での講演から

1993年にイラク北部の村でヤジディ教徒の家に生まれたナディアさん。イスラム国(IS)に、村が襲われ、家族が殺害されました。ナディアさん自身、性奴隷として人身売買されましたが、脱出することができました。ヤジディ教徒として生きる権利を勝ち取ろうと、彼女は誇りを持って闘い、人身売買の被害者らの尊厳を訴える国連親善大使に就任。2018年に、ノーベル平和賞が授与されました。

子どもへの投資。つなり、子どもを教育することの大切さを彼女は訴えています。それは、翌16日の白板にもつながります。

10月16日(土)

2014年のノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイさんが、その前年に国連で演説した時の最後のフレーズを、英語で紹介しました。

1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペンが、世界を変えられるのです。
One child, one teacher, one pen and one book can change the world.

マララ・ユスフザイ 2013年国連本部でのスピーチより

子どもへの教育の大切さを美しい英語で声高らかに訴えたマララさんのスピーチ。初めてそのスピーチを聞いたとき、震えるほどの感銘を受けたことを今も覚えています。教師の一人として、自らの立場の大切さを痛感しました。それを10代の女の子が教えてくれたということも、震えの一因でした。マララさんの言葉は、すーっと心に染み入ります。そして、背中を押してくれます。きっと西遠生たちも、「私はマララ」を読んで、そういう思いを感じていることでしょう。

国際ガールズデーにちなんだ「小さな白板」の一週間でした。

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この一週間の間に、学園では役員選挙があり、後期の方針を決める生徒総会が行われました。そして、日本社会に目を向けると、衆議院が解散しました。まもなく衆議院選挙が公示されます。
昨日、「#わたしも投票します」のハッシュタグをつけて、 VOICE PROJECT 投票はあなたの声 @tohyo_koe  がYouTubeに動画を発表しました。テレビでよく見る俳優さんやタレントさんたちが「投票」を呼び掛ける動画です。
冒頭の二階堂ふみさんと仲野太賀さんの言葉に、この動画の意義が語られています。そして、動画の中で、石橋静河さんが「昔、女性投票権なかったですよね」と言い、滝藤賢一さんが「本当に一票しかないからね」と言うその言葉に、私は痛く共感しました。もちろん、大好きな俳優である小栗旬さんがこの動画に参加していることも、こよなく嬉しいことでした。
こうした動きが、投票率の低い日本を変える力になることを心から願います。 ぜひ、この動画をご覧ください。