はたらく、はたらく。

女子校の女子は力持ち。男子がいないんだから、何でも自分たちで運びます。講堂の椅子も!

講堂内には、固定されていない椅子もあります。卒業式や入学式の行われる3・4月には、講堂の前列の椅子や、オーケストラ部が陣取る南側の一角の椅子がいったん講堂から運び出され、式典が終わった4月中旬に再び客席に設置されるのです。この椅子が、重い! この日は、姉妹班の生徒たちがみんなで力を合わせて慎重に椅子を運び入れ、最前列を作りました。こういう力仕事も、じゃんじゃん頑張るのが、女子校の生徒たちなのです。

姉妹掃除の時間、働き者たちが、学園のあちこちにいます。学年を超えた「働き者コンビ」や「働き者トリオ」がたくさん見られます。先輩は優しく後輩に教え、後輩は先輩の言うことをひたむきに聞いて、時には笑いも交えながら、みんなで力を合わせて学園美化に努めています。

ローズガーデンでも、大きなクスノキの落ち葉を集める生徒たちが、黙々と働いています。葉の生え替わりが進み、クスノキの下には、落ち葉がいっぱい、生徒たちを待っていました。生徒に「このクスノキ、知ってる?」と声を掛けました。

このクスノキは「被爆二世クスノキ」です。長崎の山王神社の大クスノキが、1945年8月9日の長崎への原爆により熱風で焼かれ、ひどく傷んだのですが、戦後、生命力たくましく再び生い茂りました。そのクスノキの子どもがこの木です。この木を西遠に植樹してくださったのが、長年長崎で西遠生に自らの被爆体験を語ってくださった故 和田耕一さんです。

生い茂ったクスノキの緑に平和の尊さを感じますね。ウクライナへの爆撃に心を痛める生徒たちですから、この木のいわれを知り、落ち葉を掃く手にも気持ちがこもったことでしょう。

このローズガーデンにはもう一つ、平和の象徴があります。それがこのバラ。アンネのバラです。西遠中3の必読図書にもなっている「アンネの日記」の著者アンネ・フランクを讃えて、ベルギーの園芸家が「アンネのバラ」として作り、名付けました。かつてアンネの父オットー・フランクに贈られたバラは、1972年に日本にも渡ってきました。そのバラが、西遠にもあるのです。アンネのバラがたくさん咲く頃、西遠は「殉難学徒慰霊式」を迎えます。

殉難学徒慰霊式に向けて毎日準備に奔走するのは、生徒会の執行部。心を込めて働く生徒たちが、学園にはたくさんいます。