青空に桜

今日から、2019年度の授業が始まりました。
(但し、中学1年生はオリエンテーションが明日まであります。)
新しい年度の新たな教科担任の先生との日々が始まります。
今朝の登校時間には、桜と空の色のコントラストが素敵でした。
高校3年生が、正門で「わあ、きれい!感動した!」と呟いたのが印象的でした。
美しい風景に気づく心の余裕、感性が嬉しいですね。
登校時間にはカメラを持ち合せませんでしたので、生徒が登校を終えた8時20分の正門付近を撮影しました。

空が青くて広い!
桜も、昨夜の強風に耐えて、花を湛えています。
メジロやシジュウカラもさえずっています。
良い季節です。
三好達治の「甃のうへ」(いしのうえ)という詩の最初の数行を口ずさみたくなる季節です。
     甃のうへ  三好達治
  あはれ花びらながれ
  をみなごに花びらながれ
  をみなごしめやかに語らひあゆみ
  うららかの跫音(あしおと)空にながれ
  をりふしに瞳をあげて
  翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
  み寺の甍(いらか)みどりにうるほひ
  廂(ひさし)々に
  風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
  ひとりなる
  わが身の影をあゆまする甃のうへ

遠い昔、高校の現代文の授業で習った詩です。
扇形校舎の教室が脳裏に甦ります。
10代の頃のこうした記憶って、とんでもなく後になって、ふうっと甦るのですね。
情緒も何もなく(笑)、箸が転んでもおかしい年頃の高校時代でした。
ひたすら賑やかで、授業で習った詩文も茶化すことばかりしていた記憶がありますが、
昨年でしたか、桜の花びらが風に舞うのを見ていたら、
  あはれ花びらながれ
  をみなごに花びらながれ
  をみなごしめやかに語らひあゆみ
の部分がふと(何の前触れもなく、です)口を突いて出てきたのでした。
あら、この詩は私も教わったわ、という方もおられるのではないでしょうか。
今はあまり教科書では見かけない詩となってしまいましたね。
叙情豊かな詩の世界を垣間見ることのできた昭和50年代の現代文の教科書に今更ながら感謝する次第です。
をみなごたちは、今日も元気です。
学園は「み寺」ではないけれど、
桜の下を登校する今年のをみなごたちを見守りながら、
静かにこの詩の季節と世界を味わうことにしましょう。