小さな白板2023 第20週

はじめに
 昨日からの大雨による災害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 静岡県内各地に被害が出ている、西部地域の被害も複数報じられています。
 交通網も混乱が続いています。
 どうぞ皆様、このあともご安全にお過ごしください。

「小さな白板(ホワイトボード)」も節目の20週に突入しました。パフォーマンスの練習、大会本番や午前中での授業打ち切りなど、図書館になかなか足が向かない週ではあったと思いますが、ふっと短歌を見つけて想像力を働かせてくれたら嬉しいなと思って短歌を選びました。5月の終わりはちょっとロマンチックな短歌で生徒の皆さんに想像力を広げてもらいたいな、と。

5月29日(月)
五線紙にのりさうだなと聞いてゐる遠い電話に弾むきみの声  小野茂樹

電話の先の恋人はきっと何か楽しいことがあって声が弾んでいるんですね。彼女の声が五線紙に載りそうだななんて考える作者は、嬉しいのかな、寂しいのかな。きっと彼女に直接会いたいんだろうなあ。

5月30日(火)
つかまえた風を放して君は言うきずなとほだしが同じ字なこと   屋良健一郎

すぐ近くにいる「君」を観察している作者がいます。きっと風の強い日なのでしょう。たとえば、上着の前を広げては閉じ、上着の中に風を閉じ込めては解き放つかのような動作を繰り返しながら、「ねえ、知ってる?『絆』っていう漢字は、きずなともほだしとも読むんだよ」って作者に向かって言っているのでしょう。ほだしとは、手かせ、足かせのこと。絆という素敵な漢字にちょっと怖い意味もあることを知って、「君」は作者と共有したかったんだろうなあ。

5月31日(水)
きみに淹れるコーヒーはすこし気をつかふきみがスタバの店員だから   染野太朗

スタバに勤める恋人に、コーヒーを淹れている作者。「プロ」の前では誰だって緊張しますよね。それが好きな人であれば余計に。なんだかいいなあと思う、二人だけの時間です。

6月1日(木)
紫陽花をまるく膨らませる力 未来、約束がたくさん   千種創一

6月がスタートしました! 今日はパフォーマンス大会です! 明るくて輝く、パフォーマンス大会スローガン「煌」を想像したくなるこの短歌を選びました。紫陽花の花の丸さが、未来へのエネルギーに感じられるという想像力がまた素敵ですね。

6月2日(金)
雨はゆめのどこから降るか紫陽花をゆめの端から湿らせて朝   荻原裕幸

本当は体育大会だったはずの6月2日。雨が予想されて延期になったので、予定していた晴れの歌のピンチヒッターとして、雨の歌を探しました。でも、激しい雨の歌にはしたくなかったので、前日に続いて、紫陽花の短歌を選びました。雨の朝の紫陽花を見て、「紫陽花」と「ゆめ」を関連付ける…。こんなやわらかな想像力が働いたら素敵だなあと思います。

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パフォーマンス大会の忘れ物を二つ。傘と、三脚の袋です。お心当たりの方は、事務室までお問い合わせください。