授業納めの式で

西遠は今日から冬休みです。
休みに入ったとはいえ、受験直前の高校3年生をはじめ、学習会やセミナーに参加する生徒、部活動で練習に励んでいる生徒など、多くの生徒がクリスマスの朝にも登校しました。
オーケストラ部は東京でのオーケストラフェスタに出演です。
さて、昨日の授業納めの式では、2019年を振り返りました。
以下は、私の話した内容の一部です。
2019年は平成から令和に変わり、大きな節目を体験しました。
平成の時代は災害の多い時代だったとされましたが、令和初めての夏から秋にかけて、大きな災害が日本列島にはありました。
台風や豪雨により、多大な被害を受けた日本列島。
河川の氾濫は、とてもひとごととは思えません。
今、こうしている時点でも、我が家で年末を過ごせない人も大勢いるということを、私たちは忘れてはならないと思います。
災害の多くは、地球温暖化の影響といえるでしょう。
世界規模での自然破壊、温暖化の危機も進んでいます。
これからの私たちの暮らし方も、今問われています。
そうした世界情勢の中で、グレタ・トゥーンベリさんの行動は大きく印象に残りました。
日本国内に注目すると、政治やマスコミをめぐっては、嘘やごまかしが後を絶たない状況が続き、日本の代表たる大人たちが子どもたちの規範に全くなっていないことが、私自身、大人の一人として恥ずかしいし、申し訳ない気持ちです。
私たち大人は、「嘘をつかない」「誠実である」という人間として大事なことを、しっかりと実践していかなくてはならないはずです。
しかし、子どもたちにとって模範となる人もいました。
二人の日本人を挙げたいと思います。
一人は、ノーベル賞を受賞した吉野彰さんです。
リチウムイオン電池を生み出したお一人である吉野さんは、今後の決意として、「環境問題に取り組んでいきたい」と表明しました。
お年を召した吉野さんが、そうした姿勢を貫く姿に敬服しましたし、地球の未来を考える姿を見習わなくてはいけないと思いました。
もうお一人は、アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲さんです。
アフガニスタンのガニ大統領が中村さんの棺を担いだことからも、アフガンの人々がいかに中村さんを敬っていたのかが分かります。
中村さんは、「平和には戦争以上の力がある」と言い、武器よりも用水路が治安回復に役立つと主張しました。
自らを宮澤賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」の主人公ゴーシュにたとえたエピソードもあります。
すごいことをしようと思ってやったのでなく、愚直に、怒りながら、悩みながら歩んできたら、周りの人のおかげでここまでの仕事をすることができた、と中村さんは書いていました。
校内に目を向けて、3人の生徒の文章も紹介しました。
「新・女子校という選択」を読んで男女の役割分担のあり方について考えた高校1年生の感想、
高校2年生になってはじめて人の上に立つ体験をし、自分がいかに周りに支えてもらっているのかが分かったという高校2年生の感想、
そして、バレー部を引退した高校3年生の感想も紹介しました。
自主性を重んじる部活で、考えること、それを実行していくことの難しさにも直面しながら、部活で悩んだことが今の受験勉強に大いに役立っていること、
自分たちの代では努力が足りなくて全国大会に行けなかったが、後輩がその壁を突破してくれることを心から望んでいることなど、
高3生のこの感想文は、後輩たちには心揺さぶられる言葉であったと思います。
こうした先輩の感想を中学1年生も聞くことができる、それが中高一貫の良さの一つですね。
来年はどんな年にするか、決意を新たにしてください。
是非「考えること」を大切にしてほしいと思います。
講堂の舞台から、全校の生徒の皆さんに向けて、こうしたお話をし、令和元年最後の訓話を終えました。
全てを覚えていてほしいとは言いません。
私の話の中に心に引っかかった部分があって、
それを自分の生き方・過ごし方に反映させてくれるように、
私は心から願っています。