生徒総会から思うこと

今日は、後期の役員認証式に続いて、中高それぞれの生徒会による「生徒総会」が講堂で行われました。

今回の生徒総会は、年間3回の総会のうちの1回で、後期基本方針の承認を得るための大事な総会です。総会に先立ち、役員認証式の訓話の中で、私は「生徒会の活動は、執行部だけのものではない。今、客席にいる生徒会会員のものである。分からないまま方針を承認するのではなく、分からないことは質問し、納得してから承認しなさい」と話しました。

1時間目は中学生徒総会。各執行から後期活動内容が説明され、質疑応答の時間になりました。次々に質問の手が挙がります。中学3年生からの質問は、どれも的を射たものでした。

  • 前期集めたベルマークは何に使われたのか。
  • 生徒会が予定するイベントのコロナ対策はどうなっているか。
  • 挨拶コンテストをするというが、「良い挨拶」の基準とは何か。
  • 今年度ペットボトルキャップは集めないのか。
  • クラス対抗のコンテストは人数の違いで不公平にならないか。 など、なんと15問!

これはどうなっているんだろう?という素朴な疑問が、生徒総会のような大きい会場での質疑の時には、言いにくくて質問をためらってしまいますが、今年の中3はきちんと疑問を口にし、執行部はそれに一つずつ答えました。もちろん、完璧な回答をすることは難しいでしょうが、原稿を読み上げるだけの総会ではない、生(なま)のやり取りが見られたことは、今後の生徒会活動にとって大変有意義であったと思います。中学3年生の今日の姿勢は、後輩にも良い模範となりました。

2時間目は高校生徒総会でした。質疑応答の前には、3分ほど会場に話し合いの時間が持たれました。ちゃんと質問は出るのかな、と気になりながら、客席の生徒たちを後ろから見つめました。

コロナ対策として1つずつ座席を空けて座っている生徒たちですが、友人と顔を見合わせながら、あれこれ話し合っています。

3分後、会場のあちこちから執行部に質問の手が挙がりました。

  • 挨拶運動には個人も参加できるのか。
  • 後期は大きなイベントがないが、生徒会ブログには何を載せるのか。
  • ベルマーク回収方法や友愛傘の利用方法について、南館に配慮してもらえないか。
  • コンタクトレンズの空ケースの回収はどうなったのか。 など6問。

高校3年生からも質問・要望が出ました。南館に隠居しているわけじゃなく、しっかりと生徒会活動に参加し、正式な場で要望を伝える姿勢、いいですね。生徒会のあるべき姿だと思いました。また、コンタクトレンズの空ケースの取り扱いについては、友愛執行から「コロナ禍にあって、現在、業者が回収を休止しているので、回収の再開を待っています」という説明がありました。こうした答え方は、流行語にもなった「ご飯論法」などとは全く違う「正しい質疑応答のあり方」であると思いました。大人が学ばねばならないことが、生徒総会の中にはたくさん隠されています。

基本方針の承認後、生徒会長からの挨拶があります。高校生徒会長は、ここで「今年はコロナの影響で例年通りにできないことがとても多いけれど、何事も臨機応変にやっていきたいので、ご協力をお願いします」と挨拶しました。中学生徒会長は、「生徒会は、楽しいイベントをやっていくだけではなく、日常をより良くするための活動を進めていきたい」と述べました。これこそが、「後期の活動方針」です。

総会を終え、校長室に挨拶に来てくれた中高生徒会の執行部には、それぞれ「活動の方針の重要性」について話しました。 生徒総会の中身が具体的な活動内容の紹介に終始してしまうと、なぜその活動をするのかという意義や目的が見えなくなってしまいます。「内容」の説明の前に一番に語るべきなのは「方針」。ですから、執行部には、活動全体を俯瞰する目を培っていこうという大きな宿題を出しました。彼女たちなら、乗り越えてくれるでしょう。そして、「メタ認知」という大事な能力を体得できるだろうと信じています。

生徒会活動は、生徒にとって、民主主義のあり方を学ぶ大事な主権者教育の実践の場であり、生徒会を軽視する者は、社会を軽視することにつながる、と私は思うのです。ですから、私たち大人も、生徒会活動に対して、主権者教育を踏まえた指導や監督をすべきであり、日頃から民主主義のあるべき姿を確認し、不断の実践をしていかなくてはならない――生徒会活動を生徒に説くたび、己の姿勢を問われているような重い責任感を、私はいつも感じています。