たくさんの出会いに感謝 ~2020年の締めくくりに~

激動の2020年がもうすぐ終わろうとしています。新型コロナウイルス感染爆発という未曽有の事態に誰もが戸惑いました。西遠でも、前代未聞の「休校」、オンライン授業、体育大会とパフォーマンス大会の中止、オンライン学園祭など、こんなに「初めてのこと」が毎日並ぶような年はなかったでしょう。それだけに、できなかった悔しさと、それを補うための皆の必死の努力が身にしみました。どんな小さなイベントでも、できたことの嬉しさやみんなでやり遂げたことの重みを、例年以上に噛みしめることができました。

この一年、努力と工夫を惜しまず前進された皆様に心から拍手を送りたいと思います。それを一生懸命支えてくださった皆様に心から感謝申し上げます。

外出や遠出がままならない分、読書に時間を注いだ人も多かったのではないでしょうか。本との出会いは、偶然です。私は、一冊との出会いが次の本へ次の本へとつながる経験をしました。

千葉聡さんのツイッターで「桜丘高校の小さな黒板」を日々追うのを楽しみにしていた私は、夏の初めに 「短歌研究ジュニア はじめて出会う短歌100」千葉聡編 佐藤りえ絵(短歌研究社・講談社) に出会いました。短歌入門の本として読んでみようと思い手に取ると、本当に楽しい時間を過ごせました。奈良時代から令和までの100首が、ページから飛び出てきそうに躍動しています。女性の短歌が多いことにも感動を覚えました。そのことを書いたブログが、千葉聡さんの目に触れて、ツイッターで取り上げてくださったことにも大感激しました。この本は、国語科の先生にもおススメしています。短歌のハードルが低くなる、素敵な本です。

次の本「焼け跡の高校教師」大城立裕著(集英社文庫)へと導いてくださったのも、千葉さんです。「焼け跡の高校教師」の作者が亡くなられたことを伝える千葉さんのツイートに、読んでみようと思い立ち、この本を購入しました。終戦直後の沖縄で高校教師を2年務めた作者大城立裕さんは、沖縄初の芥川賞作家です。小説なんだろうけれど、大城さんが教師としてチャレンジした数々のことを回想されていて、教室の様子、生徒たちの様子など、臨場感あふれる一冊でした。10月27日に95歳で亡くなられた大城さんの現代への遺言かもしれないと思いながら読みました。あとがきの千葉聡さんの言葉も忘れられません。

「あなたが教師なら、この本はお守りになるでしょう。あなたが生徒なら、この本は、人が輝くとはどういうことかを教えてくれる一冊になるでしょう。」

「焼け跡の高校教師」大城立裕著 (集英社文庫)千葉聡さんによるあとがきより

もう一冊は、「階段にパレット」東直子著(ポプラ社)。これも千葉聡さんが紹介していた本です。絵画教室を開いた主人公とその周辺の人々が心開いていく様子が描かれていて、ほのぼのと温かい気持ちで読みました。生徒に紹介したいなと思っていた矢先、中学生が「オススメの本があったら教えてください」と校長室を訪ねてくれたので、早速オススメして、現在、貸し出し中です。

本の世界は結構その人その人で偏ってしまっているように思います、私自身もあまり多ジャンルに手を広げるような冒険はしない人間でした。が、ここ数年は、偶然出会ったどなたかがオススメする本に、新しい扉を開いてもらっています。そして、その本をブログなどで紹介した後、生徒の誰かが読んでくれたり、先生から「読みました!」と声を掛けてもらえたりすることは、私にとってこの上ない喜びです。来年も素敵な本に出会えますように。そして、誰かとその喜びを共有できますように。

最後にもう一冊。絵本を紹介しますね。

「女の子はなんでもできる!」(早川書房)という元気いっぱいの絵本です。文:キャリル・ハート、絵:アリー・パイ、そして翻訳はモデルの冨永愛さん。ジェンダーバイアスに捉われない子育ての背中を押してくれる本だと思いました。この本、西遠の生徒はどう読むのかなあ。もしかしたら、もう女の子に無限の可能性があることに気づいている子が多いんじゃないかな。だとしたら、とても嬉しいことです。

高校の「授業納め」で、セルビアの国連事務所長に日本人女性の山下真理さんが選ばれたこと、それを国連事務次長の中満泉さんが祝福していたことを紹介しました。二人は、大学時代の模擬国連サークル時代からの仲間だそうです。大学時代の仲間が、こうして世界の平和に貢献する表舞台で共に働いていることに私は感銘を受けました。そして、西遠の卒業生たちも、そうした活躍の場に向けて、しっかりと力をつけている人が少なくないことを信じています。2021年、西遠から「未来を拓く女性」がもっともっと誕生することを心から願い、今年のブログを閉じたいと思います。

皆様、今年1年間ご覧いただき、ありがとうございました。よいお年をお迎えください。

「友情」290号の表紙の夜景です。