令和2年度 女性の生き方を考える弁論大会 その2

昨日1月30日に行われた「女性の生き方を考える弁論大会」(後援:国際ソロプチミスト浜松)について、今日は4時間目の高校の部を振り返ります。

高校生の部は、高1が3名、高2が3名、それぞれの弁論を披露しました。いずれも「女性としていかに生きるか」をぐいぐいと問う主張で、私自身の今までの生き方を問われているようで、ぎくっとするところも多々ありました。

高校1年生は、日本の女性史に登場する様々な女性を一人取り上げ、深く掘り下げます。

トップバッターの山本さんは、「互いを見つめる」と題して、平塚らいてうの生涯を取り上げました。「原始、女性は太陽であった」で始まる、「青鞜」創刊号の巻頭言を紹介し、明治時代の女性の地位に疑問を持ち行動を起こしたらいてうの偉業を紹介しながら、現在の男女差別はどうなのかを問いかけました。「女性らしく」に違和感を抱き、「自分らしく」あるべきだという主張が力強く響きました。

野崎さんが紹介したのは、津田梅子の生涯でした。「『挑戦』とは」と題し、明治という時代に、留学や学校創立など、決然として未知なるものに挑戦した梅子の生涯に触れた野崎さんは、新しい自分を見つけるための「挑戦」の大切さを訴えました。

市川さんは昨年亡くなった宮城まり子さんを紹介しました。ねむの木学園のを作り、愛情たっぷりに子供たちの母として生きたまり子さん。市川さんの弁論タイトル「やさしいことは強いのよ」は、まり子さんの「やさしくね、やさしくね、やさしいことは強いのよ」という言葉からとられています。日常生活の中でできる、小さな社会貢献について考えさせられました。

高校2年生は、社会や世界に目を向け、女性に関する社会問題をとりあげました。

大塚さんは「オランダから学ぶ女性の社会進出」と題し、「ワークライフバランス」をキーワードに、オランダと日本の女性の社会進出を比較分析しました。オランダが働き方を改革した経緯に触れ、日本も学ぶべき点があるという訴えました。数値を挙げて訴える、論理的な主張でした。

河西さんの弁論は、「ジーンズと社会」というタイトルが印象的でした。キーワードは「ユニセックス」。ファッション領域で使われるこの言葉、ジーンズがその象徴ともいえます。ユニセックスという視点から社会を見つめ、性別の垣根を越えて自分だからこそできることを考えるべきだという主張、実に力強く響きました。

最後に登場した山田さんは「リーダーとはどうあるべきか」というタイトルで舞台に立ちました。彼女が取り上げたリーダーは、ニュージーランドのアーダーン首相です。アーダーン首相は、コロナ対応で称賛を集めています。彼女の厳しくも迅速で的確なリーダーシップに、優しさもあることを紹介し、一国のリーダーとしてのあるべき姿から、共同体としてのクラスや学校のリーダーとしてどうあるべきかという、自身の決意を述べました。弁論には、ロゴスとパドㇲとエトスが不可欠であるというアリストテレスの「弁論術」も紹介、よく調べられた格調の高い主張に圧倒されました。

6名の弁論が終わり、教頭先生からの講評。市川教頭先生は、弁論には、「文字」が「言葉」になって話されることで「命」が吹き込まれるところに魅力がある――と、弁論の隠れた魅力を紹介。6名の弁論について、「視点」と「構築」という二つの観点から解説してくれました。

国際ソロプチミスト浜松の岡本会長様より表彰、ご挨拶をいただき、高校の弁論大会が終了しました。

中学生も高校生も、一人一人の主張は実に力強く、よく練られた文章でした。そして、その主張に命を吹き込む、訴え方の技術。これも年々レベルが上がっているように感じました。そして、冒頭にも書いたとおり、大人の自分にもその生き方や考え方を問われるところがありました。コロナ禍の中で今回は保護者の皆様にご参加いただけませんでしたが、本来なら大人の我々こそ若者の主張に耳を傾けるべきプログラムでもあります。来年度はぜひ多くの皆様に公開できるようなプログラムにしたい、と今は強く思っております。

国際ソロプチミスト浜松の皆様、貴重な機会をご後援くださいまして、本当にありがとうございました。西遠はこれからも、「未来を拓く女性の育成」を目指し、一人一人の考え方を深めるこうしたプログラムを進めていきます。