小さな白板 第22週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、学園祭の足音を聞きながら先週も綴りました。

9月21日(火) 教室の隅に積まれた段ボールなどは無視する普通授業日  千葉聡

週の初めは、学園祭を意識して、「短歌は最強アイテム」(千葉聡著)から一首。今は、横浜サイエンスフロンティア高校で「小さな黒板」を続けていらっしゃる「ちばさと」こと千葉聡先生は、私の心の師匠です! ちばさと先生も、今まで何度も文化祭を経験しておられます。本当は文化祭に必死な生徒たちを心から応援したいのに、行事と授業のけじめをつけなくちゃいけない先生方の心の声が聞こえてきそうです。無視しているけど、先生方は実は一番の応援団なのです。

9月22日(水)

シャネルは、ファッションを通じてなにを訴えようとしたのか?もうおわかりでしょう。彼女は「女性の自立」そして「自由」を、ファッションに落とし込んでいったのです。

              瀧本哲史著「ミライの授業」より

生徒に人気のココ・シャネル。 彼女の生き方を辿ると、彼女がファッションで世界を大きく変えたことが分かります。「女性の生き方を考える作文」の課題の中で、毎年、ココ・シャネルを調べる生徒が多いのは、彼女の人生から大いに勇気をもらえるからなのでしょう。

9月24日(金)  やさしいね陽のむらさきに透けて咲く去年の秋を知らぬコスモス  俵万智

コスモスの季節が来るのを待っていました。早くこの短歌を紹介したいなあ、と思いながら。コスモスのたおやかではかなげな佇まい。あの優しさは、過去を知らないからなのでしょうか。過去に何が起きたかなんて知ろうとはしないで、そこに黙って揺れていてくれる花に、優しさを感じる秋なのです。

写真は、昨年の秋、思い立って、西日の傾く時間に訪れた「浜名湖ガーデンパーク」のコスモスです。今年は一面のコスモスの花を見に行けるでしょうか。

9月25日(土)
   来しかたのところどころに立つ案山子へのへのもへじのかほのうつむく  田口綾子

田んぼや畑のあちこちに突っ立っている案山子(かかし)の、へのへのもへじの顔を想像しながら、ひらがなの素朴さを感じた短歌です。「短歌研究」9月号で出会いました。田口さんのお名前を見て、あ、この方の短歌を前にも紹介したはず!と思い、調べました。ありました、ありました、5月20日に! →どんな短歌かは、こちらからお探しください。

9月26日(日)  あすひらく花の名前を簡潔に未来と呼べばふくらむ蕾  笹井宏之

笹井宏之さんは26歳の若さで亡くなった歌人です。わたしは彼のことに全く詳しくないのですが、「やさしい響きの短歌だなあ」と思って作者を見ると、笹井さんであることが多いのです。その短歌の優しさ・あたたかさは、故人のお人柄なのだと思います。今、まだ何者なのかも分からないなりに、自らの蕾を膨らませている若い世代への、笹井さんのどこまでも温かいまなざしを感じました。そんな気持ちを持って、オープンスクールで図書館を訪ねてくれる小学生の皆さんに向け、この一首を書きました。

今週も学園祭に向けて全力疾走です! 図書館を訪ねる暇もないかもしれない生徒たちですが、ほそぼそと今週も「小さな白板」続けますね。