ヒロシマの日に

ヒロシマに原爆が落とされて、69年。
今日の広島は40数年ぶりの雨の記念日となりました。
8時15分のサイレンに合わせ、校長室で黙祷しました。
セミの声が耳に入ってきます。
69年前のこの日も、きっとうだるような暑さだったことでしょう。
想像を遥かに超え 、地獄のような惨状を広島の人々は味わい、
その苦痛や悲しみは決して消えることはありません。
今日の広島市長の平和宣言では、たくさんの被爆者の声が紹介されました。
今年、横浜の中学生が長崎の語り部の方に発した「死に損ない」という暴言が、私の頭をよぎりました。
今朝のニュースでも、子供たちが戦争のことや原爆のことを知ったり感じ取ったりする機会があまりに少ないことが報じられていました。
私も戦争を知らない世代ですが、大人の一人として、子供たちの無関心に危機感を感じます。
語り部の方々からは「先生も変容した。」という声がありました。
このことも少なからずショックでした。
今日の平和宣言にもあったように、大人も子供ももっと被爆者の声に耳を傾け、彼らと共にあるべきではないでしょうか。
直接経験しなかったことでも、人には「想像力」という力があります。
それを駆使して、平和を尊ぶことが私たちにはできるはずです。
広島市長は言いました。
「若い人たちが世界に友人を作ること、未来志向の対話をすること」
「人類の未来を決めるのは、皆さん一人一人であり、
皆さん自身のこととして受け止めて考えてほしい」
「被爆者と共に考え、伝えていこう」
このメッセージが西遠の生徒たちにも伝わり、
生徒一人一人が己の想像力を駆使して、
自らの問題として、原爆や戦争のことを考えるよう望みます。
西遠では、殉難学徒慰霊式を毎年行い、
それに向けて皆が「平和の作文」を書いて
平和について思いを新たにすることを続けています。
同世代の中では、恐らく平和について考える機会は格段に多いのではないでしょうか。
それでも、戦争の記憶は年々遠ざかっています。
大人の一人として、記憶の風化を食い止める努力をしていかねばと思います。
9日には長崎の原爆記念日がやって来ます。
毎年高校2年生が訪ねる地です。
この日、西遠の生徒も、研修旅行でかつて九州を訪ねた卒業生も、
心から平和を祈りながら、自らのこととして、
黙祷ができれば、と思います。
被爆者のお一人である和田さんから聞いた生々しく悲惨な体験を、
心に共有している者たちとして、
「想像力」を駆使して平和を訴えていきましょう。