小さな白板 第31週

図書館入り口の「小さな白板(ホワイトボード)」、ついに12月を迎えました。11月29日~12月3日までの白板を振り返ります。

11月29日(月) あこがれの先輩見習い頑張った次は私があこがれの先輩   髙崎愛優香

ロングウォークを終えて、姉妹グループのリーダーが高3から高2に引き継がれた今週。新リーダーの皆さんにこの短歌を贈りたいなと思い、白板に書きました。第20回NHK全国短歌俳句大会ジュニアの部 入選作品です。

11月30日(火)めがねでも見えないものはたくさんででもたくさんのものを見たくて 根岸奈月

「第18回与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌 高校生の部」入選作品です。10代の探究心が伝わって、頑張れ!と応援したくなる短歌。作者の根岸さんは、晃華学園高等学校の生徒さんです。

12月1日(水)
 春ぶりに会うなり友が「げっ!短かっ!」「ヘアドネしたんだ」「マジか?スゲーな」 窪田穣

2021年11月28日の朝日新聞「朝日花壇」から一首。教員室で、「いいよね、こういう元気な短歌。」「うん、いい!」と先生方と話しました。若者の行動力、突破力が光る短歌だと思います。

12月2日(木) 
 プラネタリウムの黒い機械にとぢこめたひかりをおもふ夜更けの地下鉄(メトロ)  魚村晋太郎

寒い季節が始まりました。プラネタリウムの黒い箱の中に収められた星々。その星々の光を感じさせる地下鉄という地中の光。都会の地下鉄は、閉鎖された空間、その明るさは地上からは見えない。けれど、確実にそこにある明るい光。

12月3日(金)
 冬の日はうすいけれど/明るく/涙も出なくなってしまった私をいたわってくれる 八木重吉

今週はずっと短歌が続きましたが、週の最後は久しぶりの「詩」。八木重吉(1898~1927年)はクリスチャン詩人です。生前はほとんど知られていませんでしたが、著名な詩人たちは皆、彼の師を評価していました。高村光太郎は 「詩人八木重吉の詩は不朽である。このきよい、心のしたたりのやうな詩はいかなる世代の中にあつても死なない」と評しました。(参考ウィキペディア)

この日、白板に紹介した詩は「冬日」という短い詩です。疲れ切った心にしみわたる、寂しいけれど優しい詩だと思います。

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では、西遠の紅葉をどうぞ。寒さが続きますが、皆様、どうぞお元気でお過ごしください。