西遠学園祭2022 HR展編 その3

10月1日・2日に開催された「西遠学園祭2022」のHR展を振り返るシリーズ。第3弾は、学校全体を引っ張ってくれた高校2年生(5年生)のHR展を掲載します。「伝統と創造」の中で一番難しい「地域や世界に提案をする」という課題に取り組みました。しかも、一昨年・昨年と、オンライン重視の学園祭を経験した高2生たちにとっては、初めての「有観客」「巨大制作物」。戸惑いながらも、諦めることなく果敢に挑戦した3クラスを振り返ります。

5年菫組 「ようこそ5菫レストラン」

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5菫レストランのメニューは、「食品ロス」を考えるコースとなっています。入り口の予約表も、譜面台を使ってレストラン風情を醸し出していました。

お店の雰囲気作りにも気を遣っています。廊下も教室もレンガと若葉のイメージで統一したところがおしゃれですね。

食品ロスについて、日本の現状、静岡県の現状、そして諸外国の対応や、企業の対応など、知っていなくてはならない知識がたくさん詰まったHR展でした。

説明を聞いた後、最終コーナーでクイズ(自動音声読み上げ!)に挑戦したり、その答えがロッカーを開けると出てきたり。また、特製の「自動販売機」で食品ロスを防ぐレシピを出す、という趣向も、お客様に大変好評でした。

審査員のコメントより

  • 食品ロスを耳にしたことがあっても正直じっくり考えたり、それが何なのかしっかり理解していなかったので、改めて食品ロスの大切さを考えさせられた内容でした。 食品ロスのレシピを頂けたのは嬉しかったです。いい提案だと思いました。 自動販売機みたいなシステムで面白かったです。 自動音声?で読み上げてくれるのも良かったと思います。
  • 最後のガチャがアナログで楽しかったです。レシピも良かったです。
  • フードロスという現代の大きな課題をテーマ設定にしたのがよかった。クイズ形式やおみやげレシピなど来場者を楽しませる工夫があった。
  • 地域にある企業の、組織的なフードロスへの取り組みを知ることができました。個々でもできる取り組みへと発展できると思いました。
  • レシピの自動販売機など面白い部分があり、来場者は楽しめたと思うが、調べの中身をもう少し充実させられると良かったと思います。
  • 巨大制作物に工夫がほしかった。

5年月組 「未来にのこす建築」

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審査の結果、HR展「第3位」を獲得した5年月組は、「建築」をテーマに、木の建築の可能性を大いに語りました。 教室を非日常の空間に誘ったのは、教室中央の巨大制作物「5ツ木ンクリート」です。制作過程から、ひときわ大きさが話題となっていた制作物でした。入り口は茶色の幹に緑色の風船、くぐり抜けると、グレーの幹と黒白の風船という色彩の工夫も、お客様をアッと言わせる演出でした。

国語の教科書で建築家の隈 研吾氏の文章に出会った生徒たちは、「木の建築」について学び始め、夏休みに建築関連の企業を訪ねて、木と鉄、コンクリートの建築物について深く知ることができました。教室には、そうした調査を経て彼女たちがたどり着いた「建築の未来」が提案されています。

審査員のコメントより

  • 学校の勉強から興味を持ったというのが良いと思いました!文章だけでなくグラフを入れて分かりやすくした内容でよかったです!
  • 色彩についてもよく計算されていました。風船の使い方も面白かったです。
  • 家づくりについてあらためて考えた人も多かった内容だったと思います。
  • オンラインページを拝見し、作成されたページへの統一性を感じました。黒字をベースにピンクと黄色、水色のハイライト、大切な部分には赤字を使用しているというように、読者が読むことをやめてしまうようなことがないようにする色彩的な配慮が感じられました。
  • オンラインでは「はじめに」の部分でページの概要を提示していたため理解しやすく感じました。「木造住宅の寿命」のグラフはもう少し薄い色で表示したほうが見やすいと感じました。ほかのクラスよりも簡潔かつ見やすくまとめられていて責任者をはじめとするクラスの方の協力を感じる作品でした。
  • 教室に入った瞬間、非日常空間があらわれ雰囲気がとてもよかったです。巨大制作物というより建築をテーマにしただけに、空間プロデュースという感じで新しい試みだと思いました。説明はもう少し整理して情報量を少なめに簡潔にできるといいと思います。CO2コンクリートについてとても興味深いのですが、セメントの代わりにCO2をどう使うのか、耐久性比較など、もう少し具体的に説明してもらえると良かったです。
  • アンケートの回答数(264世帯)はあったのですが、対象者がわからなかったのでそこも載せてあるとよかったです。

5年星組 「情報大陸」

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高柳健次郎が世界初の電子式テレビジョンを開発してから約百年。5年星組は、郷土の偉人「高柳健次郎」に注目し、そこから「情報」の過去・現在・未来をたどりました。審査の結果、みごと、HR展「第1位」「PTA会長賞」「をみなご賞」「外国人審査員賞」の4冠を達成しました!
外国人審査員の皆さんは、オンラインの英語ページ(高校2年生は英語ページも作成)を審査してくださいました。

高柳健次郎といえば、この「イ」の字。巨大な「イ」の字の制作過程をどうぞ。

他にも、制作物には工夫が凝らされ、その説明も分かりやすいものでした。

情報の伝達についての様々な実験が紹介されたり、AIやフェイクニュースについても取り上げ、「情報」とどう向き合うべきなのかを真剣に論じ合ったあとがうかがわれるHR展でした。

審査員のコメントより。

  • 実際に実験を行なっていて、難しく感じがちな科学的な仕組みをわかりやすく説明していた。ポスターやラジオ放送を再現するなど文章と画像、動画の割合がちょうど良く興味深い内容だった。高柳健次郎の紹介から世界への提案への持っていき方に感心した。
  • 文章の書き方やデザイン等にも工夫が見られ楽しく閲覧できました。展示物も実際に覗いたり体験したりでき、生徒が積極的に声かけをしていて小さい子や小学生も楽しんでいました。
  • フィールドワークや定量的で多くの検証がなされた実験から、過去から未来へつながる情報のあれこれを身近に感じ、学ぶことができました。
  • テレビは、情報を得る手段として重要なものであると思います。今後は、情報を「正しい形」で理解していくことが、必要になると思いました。 工夫を凝らし、丁寧な説明でとても分かりやすかったです。
  • とても充実した展示でした。展示に至るまでの取材や研究も面白いものがたくさんありました。最初の髙柳健次郎さんの話からAI、そしてフェイクニュースと進むつながりがつかめずに多少混乱しました。この論理性を皆が理解・共有して説明が出来ると良いと思いました。ひとつひとつの展示が丁寧でよくまとめられている点には大変感心しました。
  • 情報という抽象度が高く、現代で重要なテーマに着目して取り組んだことが高く評価される。巨大制作物も迫力があり、ブラウン管の仕組みを理解するための機能展示になっていた。また、情報に関する実験を考えて実行したことも評価できる。展示の情報可視化もデザイン性が高い。最後の提案は、丁寧に説明してほしかった。

4冠達成のクラスにも、審査員からは辛口コメントもありました。そこに見える課題こそが、個人やクラス、学園挙げての課題探究へ、そして来年の学園祭へと進む大事な指摘だと思います。秋休み明け、各クラスがHR展について「振り返り」を行うとき、謙虚な気持ちで課題探究の道程を振り返り、批判的思考力を発揮して未来を考えていくことを願っています。

HR展編、これにて終了致します。このシリーズが、来年のHR展スタート時に参考になるといいな、と秘かに思いつつ。
HR展以外の学園祭記事はまだまだ続きます!