小さな白板2022 第26週

図書館入り口に掲げている「小さな白板(ホワイトボード)」、11月7日から12日までの週を振り返ります。

11月7日(月) 
 今日もまた私を救ったことなんてなんにも知らない待ち受けのきみ  寺嶋由芙

気の重い定期テスト初日の月曜日は、「アイドル歌会」のメンバー、アイドルの寺嶋由芙さんの短歌を紹介しました。ウィキペディアによると、寺島さんは、≪寺嶋 由芙(てらしま ゆふ、1991年7月8日- )は、日本の女性ソロアイドル。愛称は「ゆっふぃー」。キャッチフレーズは「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル。」。千葉県出身。≫とあります。ご存じの先生もいらっしゃいました!(すみません、オオバはアイドルをよく知りません。)

コロナ禍の頃からにわかに注目を浴び始めた「アイドル短歌」、白板への登場はこの日が3回目です。今年出版された本「アイドル歌会公式歌集1」 の中から紹介しました。アイドルの心のうちや、アイドルが思うアイドルの理想形などが見えてきて、おもしろい一冊ですよ。この短歌、待ち受け画面に自分の「推し」の写真を載せている子の思いを詠んでいます。共感する人がたくさんいるんじゃないでしょうか。

11月8日(火) 
 生れ変っても、私はまた小説家でありたい。それも女の。 瀬戸内寂聴

瀬戸内寂聴さんの言葉を紹介したのは、11月9日が瀬戸内寂聴さんの命日だからです。昨年の11月9日、寂聴さんは99歳で亡くなりました。波乱万丈な人生経験をペンに載せ、人々の人生相談にも明るく応じてきた寂聴さん、その死を悼んだ人も多かったですね。11月8日は、まず瀬戸内さんの生前の言葉を紹介しました。そして・・・

11月9日(水)
 惚れっぽい天使が地上に堕ちてきて天に帰りぬ瀬戸内寂聴  武藤 修

命日である11月9日に白板で紹介したのは、2021年12月12日に朝日歌壇で出会った武藤修さんの短歌です。寂聴さんの死を悼んで詠んだいくつかの短歌の中で、この一首がとても心に残り、書き留めました。まさに寂聴さんは「惚れっぽい天使」だったなあとしみじみ思います。激しい愛や優しい愛、寂聴さんには愛情がいっぱいあって、だからこそ人々の心を射止めることも多かったのだと思います。「天使」のような女性であったことは、8日に紹介したご本人の言葉からも感じられますね。寂聴さんの恋愛や出家を題材にした映画も公開のようです。
因みに、11月9日は、私の祖母大庭かのの命日でもあります。

11月10日(木) 
ナポリタン撥ねないように食べるときちょっぴり思い出す人がいる  赤松みなみ

朝日歌壇2022年10月16日掲載の短歌です。ちょっぴりもい出す人は誰なのでしょう。「ケチャップが撥ねるわよ、気を付けて」と注意したお母さんでしょうか。すぐにシミを付けちゃう悪友でしょうか。それとも、大好きだったボーイフレンドでしょうか。ナポリタンを食べながら、作者にしか分からない大事な思い出の人が心に甦るのです。

11月11日(金) 
 まだ寝てる頭でまだ寝てる犬をながめるたぶん無償の愛で   岡野大嗣

1111の日なので、ワンワンワンワンと、犬が出てくる短歌をご紹介しました。※ポッキーの短歌は見つかりませんでした(笑)。作者と愛犬との間にあるのは、たぶん「無償の愛」だと私も思います。まどろんでいる時間の幸せな一コマですね。私は屋内で犬を飼った経験がありませんが、室内犬もいいなと時々思います。

11月12日(土) 
 「神は細部に宿る」と言ひしは誰ならむ日なたの猫の髭の白光   桑原正紀

犬の翌日は猫の短歌です。昼間の日の光を「白光(はっこう)」と言いますが、これを「びゃっこう」と読むと、とても宗教的な雰囲気、神秘を感じます。さて「神は細部に宿る」と言ったのは誰だったか、今、目の前の日なたで眠る猫の髭に神々しさを感じ、そこに神が宿っているのではないかと思う作者です。猫も良いなあ、飼いたいなあ。最近、ツイッターで作家 椹野道流さんのおうちの猫たち(特にちびすけ)を見るのが日課になってしまっているオオバも、猫の髭に神様がいても絶対におかしくないと思います。

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本日は「西遠模試」です。小学生の皆さん、頑張ってください!

西遠の秋色をご堪能ください。

秋色いっぱいの西遠の風景の中に、なぜかメジロとカラスもいますが、ご容赦を。葉が少なくなってくるこれからは野鳥観察が楽しい季節です。