1945年の終戦の日から、80年がたちました。もうすぐ正午です。サイレンが鳴るとき、私は、きっと学園の岡本記念講堂にいて、黙禱をするでしょう。
今日は、アクトシティ浜松大ホールで行われる浜松市の「戦没者追悼平和祈念式」に、西遠から3名のボランティアも参加しています。
戦後80年、連日、様々な形で「戦争」「原爆」「核兵器」「平和」について報道がされていますね。昨日は、BSで「原爆裁判」を見ました。あの、「虎に翼」の寅ちゃんのモデルになった三淵嘉子さんが関わった裁判です。裁判を起こすことを決意し、幾多の困難をも乗り越えた弁護士、その志を継いだ人々、被爆者として国を訴える原告に加わった人、加わるのをやめた人、原告の遺族など、様々な人々の歴史と証言にグッとくるところが何度もありました。
今朝は、広島県知事が出演するワイドショーを少し見ることができました。核抑止について考えるコーナー、最後まで見られず残念でしたが、湯崎広島県知事の出演を要請したテレビ局に敬意を表します。
8月6日の平和式典での湯崎知事のスピーチは、「国破れて山河あり。」「国守りて山河なし。」という言葉が心に残った、鋭く、そして心に重くのしかかるスピーチでした。サーロー節子さんの言葉も引用したスピーチ、ぜひ全文読んでほしいです。
核兵器廃絶は決して遠くに見上げる北極星ではありません。被爆で崩壊した瓦礫に挟まれ身動きの取れなくなった被爆者が、暗闇の中、一筋の光に向かって一歩ずつ這い進み、最後は抜け出して生を掴んだように、実現しなければ死も意味し得る、現実的・具体的目標です。
広島県知事湯崎英彦 広島県ホームページより
今夜は、「火垂るの墓」も放送されますね。生徒の皆さんには、授業納めの式でもお伝えしました。戦争の真実を受けとめられる、大事な映画です。

西遠の皆さんには、平和について深く学ぶ西遠生だからこそ、今日の日を、そしてこの8月の様々なニュースやドラマを、自分事として思慮深く受け止めてほしいと思います。平和のために何ができるのだろうと、考え続けることが大事です。「微力だけど、無力じゃない」の言葉を受けとめ、できることから始めましょう。今を「新しい戦前」にしないために。

【追記】8月15日12時、サイレンを聞き、弁論練習中の生徒と2人、黙祷しました。汗が首筋を伝わっていきました。暑さの中にも静謐(せいひつ)な1分間でした。
西遠は、今、西館が「室内楽アカデミー」の会場となっています。音楽を志す方々が全国から集まり、練習されています。
音楽という芸術が自由にできる「平和」、弁論大会で自分の主張をすることができるという「平和」、バレー部が全国大会で正々堂々を全国のライバルたちと出会えるという「平和」。目を閉じながら、様々なことを考えました。
80年前の今日、正午の玉音放送の後、当時小学3年生だった母は、これで空襲はなくなるんだ、夜電気をつけても叱られないんだと喜んだと言います。対照的に、軍国少年だったお兄さんが「お父ちゃん、日本が負けたなんて嘘だよね」と泣いて帰ってきたというエピソードも、そして、終戦後の方が食べ物に困って長い間大変だったという述懐も、この夏、母は小学生のひ孫に話して聞かせてくれました。88歳の母から10歳と8歳のひ孫に、平和の継承が行われた、戦後80年の夏。
先ほど、西遠でもツクツクボウシが泣き始めました。夏の終わりを告げる声です。