女性の生き方を考える弁論大会

国際ソロプチミスト浜松様のご後援を得て、今年度の「女性の生き方を考える弁論大会」が、先週1月28日(土)に行われました。3時間目が中学、4時間目が高校(1・2年生)の弁論大会でした。今年は、「母親学級」の1月講座が「弁論大会の見学」となっていましたので、会場には学級生のお母さま方も多く詰めかけてくださいました。また、弁論に立つ学年代表者のご家族もみえ、皆で発表生徒を見守ってくださいました。

中学1年生は身近な女性の生き方を取材し、そこから自分がどんな刺激を受け、どんな発見をしたかを弁論します。今年の代表者は、一人が英会話講師を務める女性にお話を伺い、「自分の強みを生かし世の中のために何かする」ことの大切さを知ったと述べました。もう一人は、自分が興味を持つ編集の仕事に携わる女性を取材、どんな職業にもメリットもデメリットもあり、それを乗り越えていくことが大事だと、責任と出会いを大切にしていく姿勢を主張しました。二人とも誠実な姿勢での弁論がとても良かったです。

中学2年生は職場体験を通じて「働く意味」について考えました。生命保険会社に職場体験に行った生徒は、職場体験が今の自分を見つめ直す場になったと述べ、今の自分に足りないことを発見し失望したこと、しかし将来についての希望が生まれたことも語ってくれました。もう一人は、「男女関係なく働く」ということについて、入院という自らの体験を交え、女性の多い職場での男性の働きにくさという視点で考えました。男性と女性の天秤を水平にすることはできるのかという問いかけが心に残りました。

中学3年生は昨年できなかった職場体験を行ったこともあり、一人が職場体験を通じての弁論、もう一人が「世界で活躍する女性」の著作を読んで考えたことを発表しました。ボルダリング・ジムでの職場体験で3つのことを発見したという生徒は、そこで働く方々へのインタビューも交え、性別にとらわれず自分の意思を尊重していきたいと結びました。「世界で活躍する女性」を選んだ生徒は、「私はマララ」を読んでマララさんの信念の強さに刺激を受け、自分は関係ないと考えず、勇気をもって女子教育の大切さを訴えていく姿勢を持ちたいと弁論しました。二人とも力強い弁論でした。

高校生は、高校1年生が「日本で活躍する女性の著作から考えたこと」を発表、高校2年生は「現代女性を取り巻く諸問題」について探究して意見を述べました。

高校1年生一人目は、上野千鶴子さんの著作をきっかけにして、身近なところから「フェミニズム」について考えた弁論でした。母親についてユーモアも交えて語る彼女の弁論は、会場のお母様方の心にも響いたようでした。もう一人は、香山リカさんの「しがみつかない生き方」について考え、「努力の姿勢を認めて、称賛できる人になりたい」という主張を発表しました。

高校2年生は3名が登壇しました。一人は、グレタ・トゥーンベリさんという同世代の若者の行動を紹介しながら、彼女の強い覚悟に感銘を受け、グレタさんを否定しようと躍起になる大人たちに対し「否定すれば解決なのか」と問いかけました。続く二人は、「子育て」がテーマでした。いとこの子育ての大変さを知り、地域で育てていくことの大切さやスウェーデンと日本を比較した考察を述べた生徒。弟が生まれたという体験が「ワークライフバランス」について考える契機になったとして「少子化」の改善について主張した生徒。いずれも、身近な課題の存在を客席の生徒たちも感じることのできた弁論でした。

高校の弁論大会では、ソロプチミスト浜松を代表して畑すみ子会長(写真前列中央)より、ご挨拶をいただきました。国際ボランティア組織として1921年にアメリカのオークランドで創設された「国際ソロプチミスト」は、女性と女児の幸せを応援する活動を行っています。「国際ソロプチミスト浜松」は1980年に認証され、現在43年目を迎えています。西遠とスポンサーシップを結んでから今年で30年です。畑様から、ソロプチの歴史や西遠とのつながりについてご説明をいただき、さらに、相田みつをの「道」という詩をご紹介いただきました。「未来を拓く女性」を目指す西遠生にとって、大いに背中を押してもらえる詩でした。畑様、ソロプチミストの皆様、大会のご後援ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。

女性の生き方という大きなテーマの中で、それぞれが等身大の考えを発表するこの弁論大会。本やニュース、インタビューをもとに、そのテーマについて懸命に考え、意見をまとめるという姿勢は、時に不器用ながらも、とても純粋であり、真摯なことです。代表生徒はもちろん、客席の生徒たちも考えるところが大いにあった弁論大会という時間。発表が終わったら「終わり」ではなく、新たな思考と実践の日、つまり「始まり」になってほしいと思っています。