「西遠学園祭2023」を振り返る 6

10月7・8日の学園祭もだいぶ記憶のかなたに行ってしまった感がありますが、HR展の最上級生である、高校2年生の軌跡を振り返っておきたいと思います。学園祭は西遠の最大の行事ですが、単独のお祭りではありません。他の行事やプログラムと密接に関係し、生徒の成長につながっているのです。

学園祭での各学年の参加内容や役割は、上の図の左半分のようになっています。1年の貼り絵、2年のポスターセッションは、学園祭HR展への「階段」でもあります。

第1段目の「貼り絵」は、級友のアイデアをみんなで形にする、西遠で最初の協働体験です。

「貼り絵」を行った1年生の学園祭から次の2年生での学園祭までには、「掲示コンクール」や「職場体験」があって、協働してモノづくりを展開したり、一人一人が得難い体験をしたりします。その経験をもとに、2年の「ポスターセッション」があるのです。

責任をもって自分の発表のポスターを作り、それをお客様に説明するコミュニケーション力や勇気・度胸を得た中学2年生は、いよいよ、次の学園祭でHR展に初挑戦するわけです。

中3はHR展で「地域の魅力を発見し紹介する」という課題にトライし、オーストラリア研修で浜松のことをバディやホストファミリーに紹介します。海外での日々で視野を広げた後、高1のHR展で「地域と世界を比較する」という課題に挑みます。そして、高2になると、「地域や世界に提案する」という最大のミッションに挑むのです。コロナ禍でここ数年は体験できないこともありましたが、そうした制約の中でも、生徒たちは一回一回の学園祭の意義をしっかり理解して、最善の探究活動を行ってきました。

それでは、高校2年生のHR展を振り返ってみましょう。

5年月組 「マリンスポーツってなぁになぁに?」

浜松は「マリンスポーツの聖地」なんです! ご存じでしたか?
実は、地元でも「聖地」だなんて知らない人も多いのです。そこで、5年月組は「マリンスポーツ」を徹底的に調べ、体験もしました。マリンスポーツと海の未来についても真剣に考えました。

オンラインサイトは、こちらからどうぞ。

また、高校2年生は英語版のサイトも作っていますので、そちらもぜひご覧ください。

教室の展示では、マリンスポーツの種目を紹介したり、体験した動画を流したり、釣りのゲームでクイズを楽しんだり、アイデアいっぱいの展示空間を堪能した後、来場者は海岸のごみの現状を知らされ、青いカーテンの奥にある一台のヨットへと導かれます。

このヨットは、どういう過程を経て出来上がったのでしょう。段ボールをカーブさせることに始まり、船の形ができた後、全体を白くして、月組のマークを貼って、船の部分を作り上げました。

出来上がったヨットの帆の部分は、海岸で拾ったゴミを使って仕上げました。自然を大切にしたいというメッセージを込めたヨットがお客様を出迎えたのでした。

海のスポーツを楽しむためには、海を守っていくことが不可欠。月組は、マイクロプラスチックについて顕微鏡を使って紹介するなど、社会問題についても分かりやすく説明を展開しました。

大きな制作物から、黒板アートや窓のモビールまで、クオリティの高い展示物が「さすが上級生!」という安定感。貝殻やヨットの色付けでは、写真をよくご覧ください、スポンジを使って丹念な色付けを行っていました。ごみの見せ方についても、クラスで討議を重ねて展示方法を決めたのだそうです。さらに、自分の言葉にかみ砕いてのプレゼンテーションは、お客様に大変好評でした。自分たちの研究を多くの人に知ってもらいたいのだという熱意がうかがわれました。

いろいろな年齢層の方々に広く訴求する仕掛けを駆使した5年月組のHR展には、「第2位」という栄えある賞が贈られました。第2位、おめでとう!

5年星組 「エネルギーLab. ~どうする!?未来の地球~」

今年の夏は今までにない暑さでした。このままでは地球はどうなってしまうんだろう、と考えた人も少なくないでしょう。そんな地球規模の問題にメスを入れたのが、5年星組でした。地球市民として、エネルギーについて様々な提案をしました。

オンラインサイトはこちらから。

「外国人審査員賞」を獲得した英語ページもどうぞご覧ください。

黒板も掲示板も、さらに吊り下げ部分も使って、所狭しと繰り広げられた研究成果の発表。ものすごい情報量を、星組の生徒たちは自分の言葉で熱く説明しました。探究活動が自分のものになっているなということを感じました。

中でも素晴らしかったのはジオラマです。

ジオラマができるまでには、妥協しないでとことん制作に打ち込む「5星の執念」がありました。

少ない人数でも妥協しない作業のクオリティ。脱帽です。

あ、見つけた! 作っていたのは、スマートホームの床だ!

ジオラマをはじめとする制作物の秀逸さ、説明する生徒の口調もはっきりとしていて聞きやすく、自分たちなりの提案も興味深いものでした。教室の設備をうまく使い、プレゼンテーションの工夫に満ちた空間でした。

敢えて欲を言うのなら、「情報量の整理」でしょうか。調べたことを全て書きたい、説明したい気持ちはわかります。でも、情報は精査して、絞りに絞る決断も欲しいですよね。

ともあれ、 HR展最高学年として圧巻のHR展! 
5年星組は、HR展第1位PTA会長賞、そして、をみなご賞外国人審査員賞の4冠を達成したのでした。おめでとう!!!! 

後輩たちは、高校2年生のHR展の素晴らしさを頭に入れて、来年のHR展に臨みます。先輩に追い付き、追い越していく創造性や協力性を大いに期待しています。

☆  ☆  ☆

振り返るシリーズもそろそろ佳境。最後は、実行委員会のその後をお伝えします。お楽しみに。