平和の心を持って九州へ

明日、高校2年生は九州研修旅行に出発します。出発を前にした学年集会で、私は「被爆クスノキ二世」の話をしました。

ローズガーデンの入り口に立つ楠の大木。この木が長崎の原爆を浴びながらもたくましく再生した楠の二世です。この木を植樹してくだったのが、西遠ともつながりの深い、長崎の被爆者 故 和田耕一様でした。

和田耕一さんは九州を訪れる西遠生のために毎年被爆体験を語ってくださいました。2017年に西遠の語り部から引退されるということで、花束と感謝状をお贈りし、長年にわたる学園への平和教育へのご貢献に心から感謝しました。

和田さんは2021年7月6日に94歳でこの世を去られました。その和田さんが、生前、学園を訪れ、平和の象徴として植えてくださった楠木が、今こんなに大きく葉を繁らせるまでになったのです。年月というものは非情で、悲しい別れも避けて通れません。しかし、和田さんがこの学園に植えてくださった一本の木が、私たちに平和を尊ぶ心を教えてくれています。

被爆クスノキが見守るローズガーデンには、秋の日差しを受けて赤やピンクのバラが静かに咲いています。アンネのバラにもオレンジ色の蕾がついていました。

今、ガザ地区にいるパレスチナの人々や、それを支援する国連や各国の人々、ジャーナリストの方々は、どんな状態にあるのでしょうか。子ども達がたくさん命の危険にさらされています。自身のブログを振り返ってみると、こんな自分の言葉に再会しました。

国際政治はいろいろな事情が積み重なって複雑ですが、その複雑さをものともせず、そこに生きる人々の「命」を最優先事項として考え行動したのが緒方さんでした。その突破力を受け継いだ中満さんが発効に尽力したのが「核兵器禁止条約」なのです。日本女性のこうしたリレーを、次に受け継いでいく女性たちの一人にならなくては、と思うと共に、そのことを若い前途洋々たる生徒たちにこそ伝えていこう!と改めて決意しました。

2021年1月23日 校長ブログ「最近のニュースから」より抜粋

やっぱり緒方貞子さんの言うとおり、「命」が最優先されるべきなのだ!と改めて思いました。

私たちが持ち続けるべき「平和の心」を、高校2年生には九州研修の日々の中でさらに深めていってほしいと願っています。