12月10日は「世界人権デー」。第45週は、そうした記念日をちょっと意識して白板を書きました。
12月8日(月)
『若草物語』って、秀逸なタイトルだと思うのです。『風と共に去りぬ』『星の王子さま』どれも、よくぞ、こう訳してくださった、と翻訳家に感謝したいです。
千葉聡

旧ツイッターで見つけた、ちばさと先生の呟き。オルコットの「若草物語」の原題は「Little Women 」。小さな淑女たちと訳してもおかしくないこの小説を、「若草物語」と訳してくれた先人に感謝する思い、共感します! 「風と共に去りぬ」は「 Gone With the Wind」、「星の王子さ」まは「Le Petit Prince/The Little Prince」。
私は昔、川合良治先生がおっしゃった言葉を思い出していました。
「『わが谷は緑なりき』という映画があるが、『How Green Was My Valley』をこう訳したんだよ、すごいと思わないか。素晴らしいタイトルだよ。」
川合先生は私に演劇のいろは、映画鑑賞のいろはを教えてくれた恩師です。ちばさと先生もきっと教え子たちにそんな種をまいている先生なのだろうなあと想像しました。さて、そのちばさと先生の呟きがあった「サイエンスフロンティア高校・中学校の小さな黒板」に書かれた短歌は…?(明日に続く)
12月9日(火)
若草とリトルウィメンが訳された国に生まれて紅葉となりぬ
淀美 佑子

これが、ちばさと先生の旧ツイッターに紹介されていた短歌です。「若草物語」と訳された国(日本)で生まれた私は、若草からすくすく育って、今、紅葉になったよ、という短歌。まさに、「若草物語」は私の青春時代のバイブル的な本でした。いつしか私も紅葉(いや、もう落ち葉に近いかな)になったけれど、たくさんの日本女性の土台の一部に「若草物語」はあるんだろうなあと思った次第です。西遠では、中学1年生の「必読図書」ですね。みなさんは、メグ・ジョー・ベス・エイミーの誰がお気に入りですか?
12月10日(水)
‘’女の幸せ‘’とかに騙されちゃダメです。男の幸せって言葉がない時点でおかしいですよね。もし本当に家にいて家事と育児に専念することが楽で幸せだったら、男の人もやっているはずだ。
工藤整(ととのう)

偶然CSで見た映画が「ミステリという勿れ」。その中で、主人公の工藤整君が、子育てに悩む女性に向かって言った言葉です。「おお、いいセリフ!メモとりたい!」と思いました。ちょうど、昨日私が見た映画「女性の休日」にもつながるようなセリフです。
この日は世界人権デー。女性の権利について、今年は、講堂朝会でも考えてきましたね。この日は母親学級の皆様も登校した日なので、図書館前までいらした数名のお母様方にもこの白板をご紹介。とても強く共感していただけました!
12月11日(木)
ごく少数のエリート、いわば上位1%の世界だけで男女比を整えても、残る99%の女性たちの賃金、働き方、ケアの負担が変わらないままで平等と言えるだろうか。言えない。
ナンシー・フレイザー

この言葉に出会ったのは、11月19日にウェブに掲載された朝日新聞の記事≪「女性首相」だけ?99%の苦境に目を 米のフェミニズム理論家、ナンシー・フレイザーさんに聞く≫でした。(12月14日21時まで無料で読めます)
女性首相の誕生の意義についていろいろ考えていたところでしたので、この記事は大変興味深いものでした。99%の苦境に目を向けることの重要性を感じました。
12月12日(金)
自由と権利を制限されている人に対しては、誰であれそれを獲得できるように最大限のサポートをするのは「すでに自由と権利を享受している者」の責務です。
内田 樹

内田樹さんは、神戸女学院大学名誉教授です。この言葉は、学校法人神戸女学院の創立150周年の記念式典で、内田先生が記念講演を行った翌日、旧ツイッターで語っていた呟きの一部です。女子教育について内田先生の言葉を興味深く読みました。以下、旧ツイッターからの抜粋を掲載させていただきます。
昨日の講演の最後で特に強調したのは「今の日本社会に女子教育は必要だ」という点です。それは今の日本で女性は十分にその権利と自由を保障されていないと僕が感じているからです。男女はすでに平等であり、権力や財貨や文化資本の争奪戦にハンディなしで参加すべきだという議論に僕は異議があります。「男女平等」はまだ実現していません。男性労働者の給与水準を100に対して女性は75.2。女性の非正規雇用労働者の割合は53.2%、男性は22.5%。この状況で「まず女性を収奪と暴力から守ること」をめざす教育機関に対して「もう要らない」と告げる人たちは何を考えているのかと思います。女子教育は「温室」であるべきだと僕は考えています。そこにいればどれほど無防備になっても誰もあなたを傷つけないと保障すること。そして彼女たちの自己陶冶を見守り、才能の開花を支援すること。それが女子教育に限らず学校教育の本義です。でもまず女子が優先的に配慮されるべきだと僕は思います。「それは仮装した家父長制だ」と批判する人がいます。僕は「親切な家父長制」を掲げているので、そういわれたら「そうです」とお答えします。自由と権利を制限されている人に対しては、誰であれそれを獲得できるように最大限のサポートをするのは「すでに自由と権利を享受している者」の責務です。
ジェンダーギャップの大きい日本で女子教育が必要な理由、私も大きくうなづいております。内田先生、ありがとうございます! 西遠も女子の可能性の開花のために頑張ってまいります!
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本日、第2回高校入試説明会となっております。ご参加の皆さん、よろしくお願いいたします。

