
5月3日、本日は、憲法記念日です。
ゴールデンウィーク真っただ中の「小さな白板」をご紹介します。
4月27日(月)
フリーズドライのいちごを口の中で限りなくいちごに近づける
島楓果

図書館には、昨年設置された「木下龍也図書」のコーナーがあります。そこにある島楓果さんの歌集「すべてのものは優しさをもつ」から一首。
自分の体温の温かさで、乾燥したいちごを本来の姿に蘇らせる行為が、口の中で行われていると考えると、「食べる」という行動も壮大なことのように見えてきます。
短歌って気付きなんだなあと改めて感じさせられる一首です。
4月28日(火)
どんな陽を風を言葉を浴びてきたチリ産アスパラ98円
本条恵

スーパーの野菜売り場で、外国産の野菜を見た時、こんな風に感じることができるだろうか…と自分が問われた気持ちになりました。
陳列されたアスパラガスは、チリ産。地球の反対側のチリで、どんな日差しを浴びて育ったのでしょう。どんな風を受けてきたのでしょう。どんな言葉がアスパラガスの上を飛び交っていたのでしょう。98円のアスパラガスのここまでの旅を想像できる作者に感嘆しました。
4月30日(木)
逆上がりもう永遠にしないだろう手のひらにはまだ鉄の匂いが
鈴木晴香

この短歌を見つけた時、ずっとずっと昔に握った鉄棒の鉄の匂いが確かに蘇ってきました。すごいなあ、短歌って匂いまで運んできてくれるんだ…。
逆上がり、最後にしたのはいつだっただろう??
5月1日(金)
憎しみは、憎しみが増えるほど力を持ってしまう。でも、憎しみよりも強いものがひとつだけある。それが愛だ。
バッド・バニー

今年2月、アメリカで行われたグラミー賞の授賞式で、バッド・バニーさんがスピーチで述べた言葉の一部です。バッド・バニーさんはこの日、最優秀アルバム賞、最優秀アーバン・ミュージック・アルバム賞、そして最優秀グローバル・ミュージック・パフォーマンス賞と、3冠を達成したそうです。彼は、アメリカの移民に対する政策を非難していましたが、この言葉は「愛」の大切さを説いています。
彼のスピーチはこう続きます。「だから、お願いだ、俺たちは違う存在でいなければならない。もし闘うなら、愛をもって闘うべきだ。彼らを憎まないこと、それは俺たちの仲間を愛し、家族を愛することなんだ。それが正しいやり方だ。愛をもってやるんだ。」
多様性を大切にすることは、今の日本にも必要な考え方だと思います。「憎しみ」よりも強い「愛」を。「愛」の力を。
5月2日(土)
僕が12歳のときに憲法ができた。学校で9条の説明をされて、もう戦争も軍備もないと聞いて、その2年前まで戦争をしていた国の少年は、一番大切なものを教わったと思った。
大江健三郎

憲法記念日の前日、5月2日の白板は、ノーベル平和賞を受賞した作家 大江健三郎さんの言葉を取り上げました。
2023年3月3日に亡くなった大江さん。彼のこの言葉は、その年の3月13日に、「『9条を守ること、平和を願うことが生き方の根本。次の世代につなぎたい』本紙に生前訴え」という見出しで東京新聞が伝えた記事にありました。
大江さんは1935年生まれ。戦争が終わって言説を一変させた大人たちに大きな不信感を抱いた少年は、日本国憲法について学校で話を聞き、「一番大切なものを教わった」と感じました。大江さんは私の母とほぼ同世代です。私も母から日本国憲法を知った時の喜びを聞かされて育ちました。大江さんが、そして母たち世代が、「一番大切なもの」と感じた「直感」はとても大事だと思います。再び戦争をしない国にするという宣言が少年少女にどんなに響いたことでしょう。
大江さんの言葉はこう続きます。「自然な展開として、作家の仕事を始めた。9条を守ること、平和を願うことを生き方の根本に置いている。われわれは戦後70年近く、ずっとそうしてきた。次の世代につなぎたい。」と。
つないでもらった「次の世代」の私もまた、平和を願うことを根本に置いて生きていきたいと思います。
昨日、NHKニュースで、この本が大変売れていると聞きました。「子どもにつたえる日本国憲法」(井上ひさし著 いわさきちひろ絵)です。


井上ひさしさんも、いわさきちひろさんも、日本国憲法に同じ「直感」を感じた人なのだと思います。
今年の「殉難学徒慰霊式」は5月12日です。慰霊式を前に、卒業生や関係者の皆様から今年も折り鶴がたくさん届けられ、皆様方の平和を願う気持ちの強さを感じます。平和の大切さをしっかりと心に刻み、今年も慰霊式の準備に入りたいと思います。

