中学講堂朝会

今日の1時間目は、中学の皆さんが講堂に。
久々の講堂朝会でした。
読書週間にちなんで、本のお話をしました。
まず、1年生に「好きな作家」「オススメの本」を聞きました。
突然にもかかわらず、みんなちゃんと答えてくれましたね。ありがとう!
そのあと、私が西遠生だった頃の「読書」にまつわる思い出をお話しました。
今のように「記録ノート」はなかったけれど、自発的に読書ノートを書いていたら、3年の時、国語を教えて下さった乾先生が私の感想より長くコメントを書いてくださり、コメントをいただくのがうれしくて次の本を開く、という日々が続いたこと。
同じく3年の時、浩子先生から出された「50冊読もう」の課題に触発され、50冊あると信じたリストの本を一冊ずつ読み終え、読書ノートに書いては、また次の本と読み続け、年間で50冊以上本を読んだこと。なのに、リストは実は60冊以上載せてあったので、全部は読み切れなかったこと。
高校生になって、観劇の影響もあって、山本周五郎の本が好きになったこと。そして、周五郎の作品で、NHK放送コンテストに出場したこと。
高3の春休みに、「ダルタニアン物語」にどっぷりとはまってしまったこと。全11巻のこのシリーズのせいで、右目の視力がえらく落ちちゃったこと。
・・・
そして、今日の3冊を紹介しました。
今日取り上げた本はこちら↓です。

1冊目。山本周五郎作「松風の門」。
2冊目。池上彰著「世界を変えた10人の女性」。
3冊目。馬場錬成著「大村智 2億人を病魔から守った化学者」。
まず、1冊目の紹介では、「山本周五郎が好きなので、皆さんも読んでみてね。彼の作品が数多い中で紹介するのはなぜこの本なの?という理由はまたあとで紹介しますね」と軽く言って、2冊目の紹介に移りました。
世界を変えた10人の女性って誰だろう?
そこで、池上さんの挙げた10人のことを知っているか、手を挙げてもらいました。
1人目 アウンサンスーチー 数名手が挙がりました。
2人目 アニータ・ロディック 見事1人も挙手せず。
3人目 マザー・テレサ    さすが、ほぼ全員が高く手を挙げてくれました。
4人目 ベティ・フリーダン  誰も挙手せず。
5人目 マーガレット・サッチャー おっ、10人以上挙手。
6人目 フローレンス・ナイチンゲール すごい!みんな挙手。
7人目 マリー・キュリー   うんうん、彼女もみんな知ってます。
8人目 緒方貞子さん   日本人の名前が出てきて会場は沸きました。が、挙手少なし。
9人目 ワンガリ・マータイ  知ってる人、いました、いました。
10人目 ベアテ・シロタ・ゴードン 挙手なし。
アニータ・ロディックは、「ザ・ボディショップ」を起業。
ベティ・フリーダンは、女性運動家。
ベアテ・シロタ・ゴードンは、日本国憲法を考えたメンバーの一人で、男女平等を盛り込むのに尽力された方です。
10人の中で、私も、ロディックさんはこの本で初めて知った人でした。
この10人の女性がどのように「世界を変えた」のか。
それは、ぜひ本を手にとって確かめてくださいね。
或いは、テストが終わったら、調べてみてほしいな。
さて、3冊目は、私が始業式でも「読みたい」と言っていた本です。
ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智(さとし)さんの伝記。
大村さんについて、知っていることを2年生3年生に聞きました。
バラエティに富んだ皆さんの答え。
それを繋いでいくように、大村さんのことを紹介しました。
大村さんがノーベル賞を受賞した日、「大村さんがノーベル賞をもらうなら、平和賞かと思った」という声があったこと。それが、私がこの本を読みたいと思った理由です。
私の中で、「化学者の大村さんがなぜ平和賞にふさわしいの?なんだろう?」と「なんで、なんで」の虫があさちゃんみたいに動き出し(※NHKの朝ドラ見てる人にはわかる。笑)、私はこの本のページをめくったのでした。
結果、分かったことは、大村さんが大変謙虚で、努力家で、人との出会いを大切にされている方だということ。
「人と同じことをやっていると、うまくいってもその人と同じレベルで止まる。独自のことをやると、人より悪い場合もあるが、人を超えるチャンスが生まれる。」
「至誠天に通ず」
が大村さんの考え方であり、生きる姿勢を示す言葉だと知りました。
そして、彼が山本周五郎のファンであることも、本には書かれていました。
ここで、1冊目の「松風の門」につながったのです。
「松風の門」の中に収められた「鼓くらべ」では、お城での「鼓くらべ」に出場するため、鼓を練習する主人公のお留伊に向かって、ある老人がこんなことを言います。
「“くらべる”のはやめてください。芸術は人の心を楽しませ、清くし、高めるために役立つべきで、そのために誰かを負かそうとしたり、人を押しのけて自分だけの欲を満足させたりする道具にすべきではない。」
大村さんの伝記では、この言葉の引用の後、だから、大村さんは所有していた収集品を韮崎市に寄贈したのだ、とありました。
芸術品は、個人が楽しむのではなく、「人の心を楽しませ、清くし、高めるために役立つべき」であり、人類すべての共有財産である、と。
伊豆の土から自らが発見したエバーメクチンが、イベルメクチンとしてアフリカの人々を病魔から救っただけでなく、
自らの特許料で「絵のある病院」を建て、「韮崎大村美術館」で女流芸術家の作品を紹介し、次代を担う人々のために故郷に「山梨科学アカデミー」をつくった、という様々な取り組みを知って、大村さんが自らの出世や欲のためではなく、ご自身の特許料の使い道も、社会のために、人々のために、と常に考えているところに、深く感銘を受けました。
平和賞にふさわしい人であるという評価も納得のいくものでした。
さて、中学生の皆さんは、テスト直前だけれど、一生懸命聴いてくれました。
今日のお話のどのあたりが心に残ったでしょうか。
集会記録を楽しみにしています。