生徒の「人権」への思い その2

昨日の続きです。11月14日の講堂朝会「二人の女性からのメッセージ」の感想をご紹介します。今日は、高校2年生の感想をどうぞ。

  • 今回の講堂朝会では主に二人の女性についてのお話を聞きました。明るい未来をつかむために私に何ができるのか考えさせられました。一番印象に残ったのは、カマラ・ハリスさんの演説の一部である故ジョン・ルイス下院議員の「民主主義は状態ではなく行動である」という言葉です。ハリスさんはこの言葉のあとに意味を述べており、「アメリカの民主主義は決して保障されていません。私たちがそのために闘い、守る意思があってこそ、強いものになります」と続きます。丸山真男の「『である』ことと『する』こと」でも「権利の上に眠る者」=「権利を長期間放置した者」は、民法の保護に値しない、例えばお金を貸して「返せ」と行動を起こさなければ、返してもらう権利を失ってしまうということが書かれています。権利にはたくさんの種類がありますが、私は選挙権に着目します。日本では、1925年に25歳以上の男子に選挙権が認められ、1945年、20歳以上のすべての男女に選挙権が認められました。75年前まで女性が選挙権を持てなかったという事実は非常に悲しいことですが、多くの人々が闘って勝ち取った大切で貴重な権利であると感じられます。私もあと一年で選挙権を得ることができますが、「自分の一票で世の中は変化しない」などと思わず、自分が正しいと思うものに積極的に投票し、権利を守るための行動をしていきたいです。
  • 私は今まで、自分の持っている権利をただ知っている・理解しているという、まさに「状態」だったことに気がつきました。そして、「権利があって当然」は間違いで、守らなくては失ってしまうかもしれないと感じました。ハリスさんが「母がいて、そして様々な人種の女性の歴史があり、今ここに立っている」と言っていたように、今ある権利も、女性が社会の大きな壁を突破し、苦労して勝ち取ったものだと思います。私ももうすぐ選挙権を得ますが、積極的に投票に行くなど、小さなことでも「行動」できることを見つけていきたいです。
  • 状態に満足していると、権利がいつかなくなってしまうこともあるかもしれないから、日本の憲法にも記されているように「不断の努力」をしなければいけないと思いました。今まで私は権利について深く考えたことは、正直、あまりありませんでした。しかし、歴史を振り返ってみると、どこの国の女性もはじめから権利を享受していたわけではなく、様々な苦難を乗り越え、やっとのことで得たものであることに、改めて気づかされました。感謝の気持ちを持って権利を行使していきたいと思います。
  • 今はジェンダーレスな社会が広がっていて、少しずつ多様化が広がっていると思います。でも、若者たちの間で広がっていっても、年齢が上がった世代では厳しくなっていると思います。どうやったらなくしていけるのかを考えると、私たちの世代が牽引していくことが必要だと思います。そのためには、知識と教養をつけて立ち向かうことが大切だと思います。

高校2年生は、ちょうど現代文で「『である』ことと『する』こと」(丸山真男著)を翌週から学ぶところで、私の話を聞いたのでした。あれから1ヶ月、丸山真男の名著に触れて、「権利」を今どう捉えているでしょうか。「選挙権」を行使できる年齢があと1年後に迫った高校2年生だからこそ、考えは深まっていることでしょう。また、多様性についてもHR展などで議論してきた学年です。人が人らしく生きる権利を真正面から考える姿勢、若い力で「権利」を守り育てていくことの宣言を頼もしく感じます。どの感想文もとても力強く感じられました。高2の感想掲載、おそらくまだ続きます。高3の皆さんの感想も追って掲載します。

今日は、曳馬中学校の2年女子の皆さんに「西遠」「女子校」についてお話させていただきました。生徒の皆さん、真剣に、そしてうなずきながら聞いてくれて、とても嬉しかったです。今年度も何校か公立中学校に伺い、生徒の皆さんにお話をさせていただきました。男女別学も面白いな、私も人生の3年間女子校で生活してみようかな、と思ってくれる人が増えたら幸せです。明日は、午後2時から、西遠の「高校入試説明会」です。