HR展で得られたもの その1

学園祭が終わり、秋休みが終わって、後期の授業も4日目です。
私は、秋休み中に、学園祭直前の9月29日に行なった全校講堂朝会の、生徒たちの感想文を読み、コメントを書いていました。
学園祭前の9月の講堂朝会では、私は毎年「私たちはHR展で何を学ぶか」というお話をします。
初めて学園祭を迎える中学1年生から、3度のHR展を終えた高校3年生までが一堂に会した場で、西遠の学園祭で得られる力について話す時、予習になる生徒もいれば、復習になる生徒もいるわけです。
上級生にとっては、今まで歩んできた道の振り返りとなり、下級生にとっては、学園祭のHR展をどう見たらよいのかという指針にもなったのではないかと思います。
学園祭間近に書いて提出された集会記録の感想を読むと、生徒たち一人一人がHR展で何を得たのか、あるいは今何を得ようとしているのかが見えてきます。
今日は、生徒の感想文から、学園祭を振り返り、HR展でつく力について考えてみたいと思います。
今回話を聞いて、HR展をすることでいろんな力が付き、社会人になった時にとても役立つ力だということも分かりました。それと同時に、HR展の大変さも分かりました。私はそれと似た経験を思い出しました。1年生の冬に行なった掲示コンクールのことでした。初めてのことで、いろいろ大変だったことを覚えています。でもその時は先生たちがいろいろ手助けしてくれたり、HR展とは違い、巨大製作物やプレゼンはなかったので、HR展になると大変だなと思いました。姉妹グループでいる時も、先輩が苦戦している話を聞きます。私は他校のような楽しい学園祭のほうが良いなと思っていました。しかし、去年HR展を見て、いろんなことを学ぶことができ、そして今回の話を聞いて、将来の役に立つ力を得ることができるなら、西遠のほうが良いと思いました。今年、ポスターセッションをやり、しっかりと自分の体験を来てくれたお客様に伝えるようにし、その経験を来年度以降のHR展で生かしたいです。(中学2年生)
私はもともと人見知りなので「コミュニケーション力」、不器用なので「ものづくり力」が自分の中の課題になるなと思いました。ポスターセッションをやるので、そこで少しでもコミュニケーション力を身につけることができるように頑張りたいです。(中学2年生)

中学2年生にとって、まだHR展は未知の世界ですが、中1の掲示コンクールでの経験が思い出されるなど、6年間の学園生活の中で順に学んでいくその過程を意識できたようです。
2年生は体育館でポスターセッションを行いましたが、「伝える力」「コミュニケーション力」を発揮することができたのではないでしょうか。

初めてのHR展を間近に控えた中学3年生も、学園祭直前にこんなことを書いていました。
ドクターヘリの骨組みを作った時に、ねじがはみ出てしまったり、グラグラして不安定だったり、とあまりうまくやることができませんでした。でも、くぎをねじに変えてドライバーを使って木に対する負担を減らして工夫しました。そうしたら、くぎを打っていた時よりも見た目がきれいになり、不安定も解消されました。その他、巨大製作物では、新聞紙の貼り方や形どるための方法など、いろいろな工夫をしてきました。あと少しの時間で完成度の高い作品に仕上がるようにみんなで協力したいと思います。(中学3年生)

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出来上がったドクターヘリには、こんな作業エピソードがあったのですね。
「ものづくり力」は、HR展で得られる最も大きな力かもしれません。
去年の先輩たちのHR展の中で、私がとても印象的だったのは、菊組の「からくり」でした。今年のHR展で私たちは木を使って巨大製作物を作っていますが、とても扱いが難しかったです。そんな木材であんなにも複雑なからくり人形を作れるのはすごいと思いました。でも、木材はダンボールやペットボトルと比べて壊れにくいので、巨大製作物にはとても向いていると思いました。(高校2年生)

今、私たちのHR展では、グル―ガンや木材を使っていますが、前は段ボールやペットボトル、トイレットペーパーなどを使っていたので、このようなものを今使っていると考えると、道具を使う力も上がっているのだと思います。普通の学校では、男子がのこぎりやトンカチ、ドリルを使うと思いますが、西遠では女子がのこぎりで木を切り、トンカチで釘を叩いて、ドリルを使っています。私ものこぎりやトンカチを使って作業していますが、今までこのような道具を学園祭で使うとは思いませんでした。この、協力して力仕事をすることで、より一層協力することの大切さが分かるのだと、高校生になってからですが、分かってきました。(高校2年生)
道具を使って、素材の良さを生かして、物を作っていく――。
ものづくりの得意な男子からすれば、「何寝ぼけたこと言ってんだよ」と言いたくなるかもしれませんが、あまり女子に縁のない木材・のこぎり・グル―ガンなど、そういったものと出会い、使いこなせるようになれるのは、女子校の学園祭だからこその恩恵だと思います。
小さなものから、大きなものまで、「ものを作る」ということを実際に行なうことは、これからの世の中を生きていくのにとても大切な体験です。

この屋根をどうやって完成させたのか、クラスの生徒たちには「秘話」があるのでしょう。

小さなものにも手を抜かない、そんな心意気が西遠の生徒にはあります。

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HR展で得られたもの、次回も他の視点からお伝えします。