人権について考えた  1

昨年12月15日の全校講堂朝会では、「人がひとらしく生きるために」というタイトルで、世界人権宣言のお話をしました。
冬休み前に生徒の皆さんからの集会記録を受け取り、じっくり読みました。
私は、講堂朝会はあくまでも「きっかけ」の時間であると思っています。
全て答えを出す50分間ではありません。
こういうことがあるけれど、みんなは知ってる?
知ったらどうする?
どんな疑問を感じた?
どんなことを調べてみたい?
・・・
講堂朝会が終わって、生徒の皆さんが講堂を出る時、何か調べたくなってくれたら私は一番うれしいです。
今回は、講堂朝会に続き、「女性の生き方を考える弁論大会」も同じ日に行われました。
二つを関連付けて考え、感想を書いてくれた生徒もいました。
また、数日前に見た演劇教室「ひめゆり」を思い出した、と書いた人もいました。
5月に生徒会主催で行われた殉難学徒慰霊式と関連付けた生徒もいました。
学園の様々なプログラムは、決して単発ではなく、つながっています。
それに気づいて考えを深めていける力を生徒の皆さんは持っています。
もう1つ、疑問に思ったら調べて、調べたら何か実行すること、それも生徒の皆さんにお願いしたいことです。
実際、今回の集会記録には、行動を起こし始めたことを綴った生徒もいました。
小さなことでも、始めることはとても大切です。
やらない人はそれを笑えません。
人権について、さあ、生徒の皆さんはどんなことと関連付けて考えを深め、何かを始めたのでしょうか。
今日から少しづつ紹介していきます。
今日は、中学1,2年生の感想をどうぞ。
☆私は身近な人に外国の人はいないので、人種についてあまり気にかけたことはありませんでした。しかし、社会の学習で、人種差別やアパルトヘイトなどを学びました。みんな同じ人間なのに、平等ではない、大変悲しいことだと思います。私は人は権力を持ちたがる生き物だと感じました。人は自分の下の人間を作りたがったり、自分を中心に支配したがるのだと思います。でも、そんなことはいけません。生まれた国や肌の色が違うだけで差別をするのではなく、お互いを尊重、尊敬し合い、協力していくことが大切なのではないかと考えました。(中学1年)
☆私は最近「世界の国 一位と最下位」という本を読みました。アフリカのほとんどの国が、飢えなどに苦しんでいて、それを招くのは内戦や紛争だと、筆者は言っていました。中でも、「最底辺の10億人」と呼ばれている人たちは、一日に使うお金が120円ほどだと知り、とても驚きました。そのようなことを引き起こしてしまったのが、内戦や紛争であり、人を人でなくしてしまい、人権をなくしてしまうのだと思いました。そんな世界とは引き離された日本で暮らしていると、人権があるということを忘れ、幸せで満ち足りた生活が当たり前になってしまうのも、少し怖いなと思いました。幸せだからこそ、人権というものを忘れてはならないと思いました。アムネスティのホームページを見て、自分に関係ないからと言って、見て見ぬふりをすることが一番良くないことだと思いました。自分さえよければ全ていい、なんて考え方では、世界は回らないと分かりました。(中学1年)
☆ノーベル平和賞受賞者の紹介がありましたが、私はその中でも16歳で受賞したマララさんについて、一番印象に残りました。講堂朝会の次にあった「女性の生き方について考える弁論大会」で3年生の先輩も言っていましたが、何歳でも世界を変えることができるんだなと思いました。でも、そのためには強い信念が必要だと思います。強い信念を持っていなければ、途中であきらめてしまったり、反発して来る人たちに負けてしまいます。マララさんは、たった16歳でそれを持っており、反撃してくる男性の大人、しかも武器を持っている人たちにもひるまずに立ち向かうことができたんだと思います。マララさんはすごくかっこいいなと思いました。私もマララさんのような強い信念を持った女性になりたいです。(中学2年)
☆いつも当たり前のように家族や兄弟と幸せな生活や楽しい暮しが出来ているので、私はこの人権宣言を見てとてもびっくりしました。人権というものがなかったら、楽しく学校に行くこともできないし、楽しく兄弟や家族と買い物などをすることができない。私たちのように当たり前にこのような生活ができている人は世界中にどのくらいいるのであろうかと思いました。そこで、私は、世界中で私と同じくらいの年の子どもでどのくらいの人が学校に通えていないのかということを調べてみました。ユニセフのHPを見て、とても言葉が出ませんでした。そこに書いてあったのは、世界中で学校に通いたくても通えないという子どもが2億6400万人と書いてありました。低所得国では中等レベルの教育を受けている子供はわずか12人に1人と書いてありました。日本の人口の2倍以上の子どもたちが学校に通えていないということを知りました。(中学2年)

社会の授業や読書、弁論大会と関連させて「人権」について考えることができた生徒たちです。
また、ユニセフのHPで子どもたちの現状について調べ、学んだ生徒も。
この感想が、自分自身を動かす原動力になっていてほしいと思います。
そして、これをお読みになった皆さんが、また何かを始めるきっかけとしていただけたら幸いです。
人権問題は、決してよその国の話や昔の話ではありません。

12月15日の講堂朝会の内容は、こちらで触れております。
どうぞお読みください。