小さな白板2022 第15週

図書館入り口に掲げる「小さな白板(ホワイトボード)」、第15週は「演劇教室」当日から始まりました。

7月11日(月) やわらかいスポットライトが当たるとき光の檻に閉じ込められる  柿本なごみ

わらび座さんがやってくる日ということで、この短歌を図書館入り口に飾ってお迎えしました。舞台という場所をお仕事としている方々にとって、「スポットライト」とはどんな存在なのだろうと考えました。スポットライトの中にいると、暗い客席が見えないこともあります。それを作者は「光の檻(おり)」と表現されたのかしら。たとえ「やわらかいスポットライト」であっても、その光を浴びる人にとっては、そこは決して逃げ出せない場所。そこに立って、最後までやり抜く責任感も想像されます。華やかさの裏側を、この短歌はソフトな表現で歌い上げているのだと思いました。

7月12日(火)
   悲しいときは
   空を見上げて
   雲の上は いつだって青空
   光あふれて いつだって青空
                 わらび座「いつだって青空」(作詞 高橋知伽江)

演劇教室「いつだって青空 ~ブルマー先生の夢~」で歌われたメインテーマの歌詞を掲載させていただきました。全校生徒の心に、この曲や歌詞が刻まれたことでしょう。今日のお天気のように黒雲が空を覆っていたとしても、その雲の上には青空が広がっていることを私たちに再認識させてくれる歌です。明治時代、不撓不屈の精神と持ち前の明るさで、日本の女子の体育の向上を果たすべく奮闘された井口阿くりさんのことを、私たちは忘れません。演劇という芸術を生で鑑賞することができ、とても幸せなひとときでした。

7月13日(水)  返されたテストをまるめ、またまるめ、ダリの髭よりまるめてしまう  千葉聡

テスト返却の時期にこの歌を。テストの解答用紙、まるめちゃった人はいませんか?ダリの髭(ひげ)より…?それはすごい! ダリを知らない人はどんな髭か調べてみてください。ちばさと先生の短歌には、学校生活の春夏秋冬が本当に優しく表現されています。生徒たちを見るちばさと先生のまなざしの優しさをいつも感じます。この短歌は「飛び跳ねる教室」所収。

7月14日(木) カタカナ語ふえる日常アクセント微妙に異なり又直される  塚野佐江子

カタカナ語についていけないオオバには、とっても共感できる短歌です。娘や息子、孫にまで使い方やアクセントを直されながら、面白おかしくおしゃべりして生きていくのでしょうね。直されるのも、恥というより、愛嬌で。

7月15日(金) あたらしきキッチンスポンジ握るときむくむくと泡たのもしく湧く 富田睦子

日々の着実な生活の強さ・たくましさを感じる短歌を紹介しました。台所に立つからこそ生まれた一首でしょうね。日常を切り取って五七五七七にできるって素敵ですね。

7月16日(土)・17日(日)
  何回も読んだ本なら閉じたまま好きなページに栞を挿せる   谷川由里子

今日と明日の「中学入試説明会」では、図書館も校内見学コースに含まれていますので、小学生の皆さんをこの短歌でお出迎えします。本好きの皆さん、何度も読み直した本、ありますか? 私なら、小学生の頃「名犬ラッシー」ばかり読み返していました。中学時代は「若草物語」、高校時代は「星の王子さま」でした。これらの本は、確かにどのページにしおりを差し込んでもいい本だったなあ・・・なんて思い返しています。

雨の被害が各地で出ています。どうぞ皆様の地域が安全でありますように。