台風近づく連休に ~休日登校そして演劇鑑賞~

台風14号が今、中国地方を襲っています。昨日から九州に大変な被害をもたらしている、破壊力の大きな台風。ニュースの映像を見るたび、恐ろしくなります。どうぞ、この先もう新たな被害が出ませんように、と祈るばかりです。 静岡も明日20日(火)未明から朝にかけて大雨、線状降水帯が発生する危険もあるとのことです。
保護者の皆様、台風接近の際の暴風警報への本校の対応については、こちらを必ずお読みください。

本日、学園祭HR展のための登校作業はありませんでしたが、昨日は雨を心配しながらたくさんの生徒が休日返上で登校し、HR展の作業に励んでいました。掲示物を作ったり、ノートパソコンで原稿をまとめたり、それぞれに自分のパートをどんどん進めていきます。

こちらのクラスは廊下に出した机の整頓が素晴らしかったです。作業にも秩序を忘れないところがいいですね。

学園祭まで時間はあまりありません、焦る気持ちを持ちながらも、土曜の講堂朝会が終わった後からの生徒たちの推進力は目覚ましいものがありました。休日の登校作業は、時間もたっぷりあることから、生徒たちの表情も明るく、前向きな気持ちをそれぞれの教室から感じました。21世紀型スキルを獲得していこうとする「世界の中で生きていく力」は、休日の学校でも着実に育っています。

今日は、部活動があったところも、台風の進路を心配しながらだったのではないでしょうか。オーケストラ部は、藤枝で行われた「私学音楽祭」に出場し、無事帰浜したとのことです。部員の皆さんはもちろん、音楽祭のスタッフの皆様も、お疲れ様でした。

私は、昨日、アクト大ホールにおいて、浜松演劇鑑賞会の第466回例会 ASPイッツフォーリーズによるミュージカル「てだのふあ」を鑑賞しました。灰谷健次郎さんの作品「太陽の子(てだのふあ)」を読んだのは、何十年前だったでしょうか。読書感想文を書いた生徒の感想を読み、この本は自分も読まなくては、と「太陽の子」を手に取った若い頃の自分を思い出し、ふうちゃんに再会したくて、「浜演」の会員になりました。イッツフォーリーズさんのミュージカルも久しぶりでした。「死神」以来だったように思います。かつて恩師の川合先生に勧められて「演劇鑑賞協会」に入っていた高校生のころ、そして20代を思い出しながら、会場のアクト大ホールに向かいました。浜演では、新入会員にとてもいいお席をプレゼントしてくださいます。私は、前から2列目という素晴らしい席で、開演を待ちました。(以下、多少ネタバレがあります。)

「てだのふあ」は、神戸の沖縄料理店「てだのふあ おきなわ亭」の一人娘「ふうちゃん」が主人公です。舞台は沖縄から始まり、原作(おぼろげにしか記憶していませんが)とは一味違う世界が広がっているな、と思いました。ミュージカルは力強いです。歌のエネルギーにも引き込まれながら、ふうちゃんの明るさと真っすぐな純粋さ、その姿に触れて変わっていく大人たちの姿に心惹かれました。そして、沖縄の人々が抱える「ちむぐりさ」(心の痛み、辛さ)が胸に迫りました。辛い歴史を持ちずっと我慢してきた沖縄へのご褒美で沖縄の海はきれいなのだという言葉にも、「いつまで我慢すればいいんだろう」という登場人物たちの呟きにも、胸が痛みました。今なお沖縄が辛さを抱えている現実…、ふうちゃんの叫びが突き刺さります。

ふうちゃんが大人になって、教師になって、恩師に再会して…という最後の場面は、最初の場面の意味が分かって、はっとさせられ、気づくと涙が出ていました。かぶりつきの席で見るアンコールも、役者さんたちの笑顔がしっかり見られて、幸せなひとときでした。

今、演劇の世界は、コロナ禍の中で苦しい時代が続いています。しかし、人の心を震わすことのできる「演劇」という存在を、切ってしまうような社会になってはいけないと強く思います。7月に全校で鑑賞したわらび座の「いつだって青空」も、そして今回の「てだのふあ」も、客席の私たちに大きな感動や今を生きるために考えなくてはならないことを、たくさん教えてくれます。地元の劇団たんぽぽの皆さんも、子どもたちに良質な演劇を披露するために頑張っておられます。西遠では「豊かな人間性」が「未来を拓く力」の大事な柱になると考えていますが、その人間性の育成に、「演劇鑑賞」という芸術文化の世界は欠くべからざるものだと、「てだのふあ」鑑賞から一日たつ今も、私は強く感じています。