朝の読書週間に寄せて

西遠では今、「朝の読書週間」の最中です。

朝8時10分に教室に全員が揃い、本を広げる。
先生も、生徒も、おもむろに本を読み始める。
いつもは8時20分のチャイムでSHRが始まるが、
この一週間は、チャイムが鳴っても、みな本を閉じない。
放送で全校連絡が流れる8時25分まで、読書の時間は続いている。
・・・
この朝の読書週間を取り入れるようになって、もう何年たつでしょうか。
古橋妙子先生が進路指導部長をしていらっしゃった頃の導入ですから、
そろそろ20年続いている取り組みだと思います。
「朝の読書」が全国的に広まって、浜松でも、学芸高校さんで浜松市内の学校の朝読書の取り組みが紹介される大会があり、出張したのを覚えています。
今日、西館と東館を回ってみました。
静かな校舎です。
読書中の静けさは、荘厳な雰囲気さえします。
教室の小窓からのぞいても、目の合う生徒はほとんどいませんでした。
みんな本当に熱心に読んでいます。
どんな本を読んでいるのだろう。
興味はあるけれど、集中して読書に耽っている生徒たちに近づくのは遠慮しました。
せっかく本の世界に旅立っているのに、横からオオバが現れて邪魔したら申し訳ないですもんね。
朝の読書週間に寄せて、いくつか本をご紹介しましょう。

その1 「もう一つの『バルス』」(木原広勝著・講談社)
この本は、おととしの12月に読んだ本です。
バルス、と言えば、ラピュタ。
そう、映画「天空の城ラピュタ」がどのようにして生まれたのかが、「制作進行」に携わった著者の視点で綴られています。
宮崎駿さんが著者の横を通っていく、「木原君」と駿さんが呼び掛ける、・・・うわあ、こんな近くに世界の宮崎駿監督がいる!と興奮しながら読みました。
ジブリアニメの好きな人には、きっとドキドキワクワクしながら読める本です。
その2 「だめなら逃げてみる」(小池一夫著・ポプラ社)
著者の小池一夫さんの訃報を知り、その場でクリックしてネット購入した本です。
ツイッターでは、誰かが小池さんの呟きをリツイートしてくれるので、何度か彼の言葉を目にしていました。
小池さんの呟きは、どこかあったかくてほっとする呟きが多く、心癒されたり励まされたりしていたものです。
それが一冊にまとめられています。
たとえば、
 ☆「言葉」と「態度」。
   どちらか一つでは、相手には伝わらないよ。
   両方必要。
 ☆自分に欠けていることはたくさんある。
   しかし、他のことでちゃんと補われている。
   間違いなく。
壁にぶつかったら、読んでみてください。
きっと心が軽くなるでしょうし、大事なことを思い出させてくれる、悩みへの対処の仕方がわかる本だと思います。
その3 「今日の放課後、短歌部へ!」(千葉聡著・角川学芸出版)
これは、先月の東京出張で旅のお供にした本です。
千葉聡さんは、先生であり、歌人もしています。
この本は、戸塚高校での日々をまとめたものです。
千葉先生は、素朴で素直で、心が無垢な先生。
生徒たちからは、愛を込めて「ちばさと」と呼ばれています。
生徒を見つめるまなざしの温かさに感銘を受けました。
ちばさと先生の短歌を紹介します。
 ねらいから大外れしたレポートに万年筆で「惜しい」とぞ書く
 「また来ます」Kが勢いよくドアを閉めたから小テストが飛んだ
 バトン部が「笑顔で」「もっと笑って」と言い合う 文化祭が近づく
私には短歌を作る才はないけれど、ちばさと先生のこの本を時々読んで、近くに短歌を置いた生活をしたいな、と思いました。
みなさんもいかがでしょう。

さて、西遠の図書館には、3万冊以上の本が生徒たちの来るのを待っています。
読みに行くもよし、借りるもよし、図書館にもぜひ足を運んでほしいと思うオオバでした。