小さな白板2023 第32週

夏休み明けの小さな白板(ホワイトボード)を振り返ります。

8月29日(火)
他者の靴を履くということは、自分とは違う視点を獲得することでもある。
  ブレイディみかこ

夏休み明けの「授業始めの式」で、私はこれから生徒の皆さんに必要になる力として「エンパシー」を挙げ、ブレイディみかこさんの言葉や本の内容を紹介しました。それを呼応する形で、この日の白板には、ブレイディさんの言葉を乗せました。白板で紹介したのはほんの一部。この分の続きも掲載しましょう。

他者の靴を履くということは、自分とは違う視点を獲得することでもある。自分の常識が他者の常識ではないことが分かれば、狭い固定観念にとらわれなくなっていく。他の国の人々なら日本で今起きている問題をどんな風に解決するだろうと、想像したり考えたりすることもできるようになる。エンパシーの効用は、自分の目を開くこと、自分の視野を広げることでもあるんです。

ブレイディみかこ「他者理解のエンパシーが自己の可能性も開く」日経BOOKプラスより

世の中が不穏な空気を醸し出している今の時代だからこそ、「他者の靴を履く」をいう言葉に表された「違う視点の獲得」はとても大事だと思います。シンパシーは感情、エンパシーは能力。立場の違う人の側になってみるという努力をし、共感していく能力をみんなで高めていきましょう。

8月30日(水)・31日(木)
予備校講師として発言します。高校一年生〜二年生の皆さん、とにかく今のうちに、一冊でも多く、たくさんの本を読んでおいてください。繰り返しますが、これは受験指導を長年経験してきた、予備校講師としての私の言葉です。
   小池 陽慈

高1・2年生の皆さん、小池先生の言葉を読んでくれましたか? 読書です、読書! 高校3年生になったら絶対に読む暇なんかありません。今しかないということを、高校生の皆さんに自覚してほしかったのです。辛辣ですが、大事な忠告、さあ、どう受け止めますか?

9月1日(金)
月見よと妻いふ声に空仰ぐまことさやかにまどかなる月 

  来嶋靖生

ちょうど、スーパーブルームーンだ!と世間が大騒ぎだったので、この短歌を載せてみました。「まどかなる」は丸いという意味です。奥様に言われて空を見上げると、そこには、はっきりくっきりと見える真ん丸なお月様があった、という短歌から、月を見上げるご夫婦の姿が目に浮かぶようですね。ちなみに、今回のスーパーブルームーン(完全なる満月は31日の午前中だったとのこと)は、まん丸ではあるけれど、ちょっと雲の中でかすんだお月さまでしたね。ただ、月の光の圧倒的な明るさは、今回の満月がとっても地球に近いことを教えてくれるように思いました。

今年の中秋の名月は、9月29日(金)です。覚えておいてくださいね。

9月2日(土)
世界はめちゃくちゃな問題集である。誰も小冊子「解答」を持っていない。中学のときみたいに、解答をこっそりノートに写して提出することはできない。どうにかして解くしか道はない。
  永井玲衣

夏休み、弾丸東京日帰り旅行に携帯した一冊「水中の哲学者たち」(永井玲衣著)より。世界を「問題集」に例えるというのが、生徒の皆さんにはとても分かりやすいのではないかと思い、メモしました。ノートに解答を写しても、世界の問題は解決しないんですよね。どうにかして自分の力で解決を図るしかないのです。
本の中では、著者の行っている「哲学対話」という集会が面白いなと思い、興味が湧きました。

さて、今日から学園祭前日まで「下校門限延長期間」。学園祭準備に燃える乙女たちの姿が見られる季節です。