3年菊組ホームルーム展「秋野不矩美術館」

〈はじめに〉
 3年菊組は「地域の魅力」という課題に対し,浜松出身(天竜区)の女流画家,秋野不矩(あきのふく)さんの作品を展示する,浜松市天竜区二俣町の「秋野不矩美術館」を研究対象とし,その魅力を発信することにしました。
〈取材・準備へ〉
 夏休み中の猛暑の中,9名で「秋野不矩美術館」を訪れ,約2時間にわたり館内及び館外を取材させていただきました。夏休み後,取材した内容をクラス全体に提示し,共通認識のもと,どのような展示にしていくか考え,グループに分かれて作業に取り掛かりました。巨大制作物の茶室『望矩楼(ぼうくろう)』の骨組みや脚部,丸みをどのような素材でどのように表現するか,美術館の柱をどう表現するか,絵画をどのように展示するか等,様々な課題が生まれ,その課題を一つ一つ解決していく地道な作業の連続でした。

美術館外観
茶室『望矩楼』

〈作業〉

美術館の柱づくり
看板制作
茶室『望矩楼』の表面を覆う「銅板」を段ボールで制作
茶室『望矩楼』の段ボール製「銅板」貼り
漆喰塗り
1年生の時に培った貼り絵技術で絵画を表現

〈完成・学園祭当日〉

入口の柱
地元の素材(西遠の砂と土,浜松で採れた藁)を使って復元した漆喰
美術館のミニチュア
漆喰塗りした模造紙に作品を貼付し,解説
貼り絵で表現された『廃墟Ⅱ』
ダンボール製の『望矩楼』
『望矩楼』内部の木目,茶道具
美術館を設計した東京大学名誉教授藤森照之さんの紹介
説明はシンプルでわかりやすく,何も見ないで自分の言葉で表現

〈まとめ ~「秋野不矩美術館」の魅力~〉
①東京大学名誉教授藤森照信さんによる美術館の設計
②建材・壁面等に地元の自然素材(天竜杉,地元の土や小石等)を多用
③靴を脱いでゆったり鑑賞できる空間づくり
④圧巻の空中茶室『望矩楼』
 実は,第二展示室中央の床下には,地元の河原の小石とともに不矩さんのお骨が埋納されています。今回の研究を通じ,上記のような魅力を持った「秋野不矩美術館」は,自然と一体化した秋野不矩さんそのものであり,秋野不矩さんを身近に体感できる大変魅力に満ちた空間であることがわかり,ぜひ,多くの方に「秋野不矩美術館」に足を運んでいただきたいと思いました。
 ホームルーム展の準備作業から当日のお客様へのおもてなしを通じ,生徒たちは団結して課題を解決していくことを学ぶとともに,地元の魅力を再確認することができました。この学びで得た団結力・自己表現力・問題解決力・技術等を,今後の学校生活に生かしてくれるものと,期待しています。
 また,この活動が,地元の魅力を発信する一助となったのであれば幸いです。

〈謝意〉
 今回,ホームルーム展を行うにあたり,「秋野不矩美術館」の館長様はじめ職員の皆様,実習の学生さんには多大なるご協力いただきました。また,間接的ではありますが,秋野不矩さんのご子息にもご高配を賜りました。この場をお借りして,感謝申し上げます。ありがとうございました。
〈おしらせ〉
 「秋野不矩美術館」は現在休館中です。来春再開されるそうです。詳しくは,美術館のホームページにてご確認ください。

文責:担任 白井秀明