戦争を語り継ぐ

今日は4月30日。
72年前のこの日、浜松で何があったのか、ご存知でしょうか。
今から72年前の1945年4月30日、浜松に空襲がありました。
西遠女子学園の先輩たちが動員学徒として働いていた河合楽器の工場も爆撃に遭い、6名の方が犠牲となりました。
4月30日は、6名の先輩の命日なのです。
そして、それから1ヶ月と経たない1945年5月19日、
鈴木織機の工場も爆撃に遭い、23名の動員学徒の方が命を落としたのでした。
動員学徒29名並びに引率教員1名が犠牲となった4月30日と5月19日。
西遠では、この悲しい歴史を忘れまいと、戦後「愛の灯」像を建立しました。
そして、毎年5月に「殉難学徒慰霊式」を催しています。
今年も、高校生徒会執行部が慰霊式の準備を行っています。

全校生徒がこの慰霊式を前に書く「平和の作文」。
入学したばかりの中学1年生も、この作文を書きます。
中1は「戦争体験者に聞く」という聞き書き作文が宿題となっています。
ご家族の方にもお願いをして、身近な戦争体験者を探してもらいました。
今日は、聞き書きのメモをもとに原稿用紙に向かっている1年生もいることでしょう。
どうしても身近に戦争体験者を見つけられなかった生徒のために、
明日はお二人の卒業生が放課後の学園にいらしてくださいます。
殉難学徒の同級生の皆さんです。
中学1年生にとって、貴重な機会となることでしょう。
戦争を若い世代に語り継いでくださる、先輩の皆様のご協力に心から感謝致します。
西遠の公式HPでは、「戦後70年ー西遠の記憶」として、
・6月17日の浜松大空襲の体験を語ってくださった大中様
・5月19日に動員学徒のお姉さまを亡くされた橋本様
・4月30日に友人を亡くされた動員学徒の吉田様と三輪様
・小学校6年生で飯田の空襲に遭われた伊藤様
の体験を掲載させていただいています。
今、1973年に発行された「浜松大空襲」という本を読んでいます。
そこにも、たくさんの方々の手記が掲載されています。
西遠の教員を務め、動員学徒付き添いも務めていた井上正幹先生の文章もあります。

掲載された文章は、どれも重く、辛いものばかりです。
最愛の方を亡くし、深い悲しみの中にいらっしゃる方々の
平和を思う強い気持ちも、悲しみや怒りと同時に伝わってきます。
歴史の年表では、1945年は、広島と長崎に原爆が落ち、そして終戦を迎えた1年ですが、
そこには本当に多くの人々の命が犠牲となっているのです。
浜松の地で、最愛のご家族や友人・隣人を亡くし、
命からがら逃げ延びた体験を持つ方々のお話を聞き、読んで、
年表では分からない「生活の場の戦争の真実」を
私たちは聞き、知り、考えていかなくてはなりません。
今年の殉難学徒慰霊式は、5月16日(火)に行われます。