「新・女子校という選択」~西遠の学び~

教育ジャーナリストおおたとしまささんの新刊「新・女子校という選択」には、41校の女子校が紹介されています。
その1つに、西遠女子学園も紹介していただいています。

西遠ならではの取り組みがいつくか挙げられ、
その中に、「旧来の『女子』のイメージを打ち破ることにも積極的」という項目もあります。
10月5・6日に今年の学園祭が終わりましたが、
学園祭本番を迎えるまでの日々の中にも、
「旧来の『女子』のイメージ」とはちょっと違う世界が繰り広げられていました。
学園祭直前の準備の様子を振り返ってみましょう。
これは、4年藤組の生徒がオルガンの音を出す装置を作り上げ、級友に説明しているところ。

風船が膨らむと、「おおっ!」とクラスメイトの歓声が。
この装置を、当日は一人一人が使いこなし、プレゼンできるようになります。
工学系に弱い女子もいますが、級友と共に考え方や説明の力もつけていけるのです。
4年星組では、教室の隅に置いて制作していた大きな地球を中央に動かす作業の真っ最中でした。
地球を動かすプロジェクト、さあ、始まりました。

地球の上部からひもが伸びています。
ひもは、教室中央の天井にあるフックを通っています。

実は教室の反対側から皆がひもを引っ張っているのです。
地球を慎重に慎重に扱うクラスメイト達。
息が合っています。

さあ、計画通りの位置に来ました。
底部を固定する作業も丁寧に行われています。
よく見ると、地球を動かすプロジェクトの一部始終を動画記録しているメンバーもします。

クラスの一人一人が組織としてそれぞれの分担をきちんと自覚している様子がうかがわれました。
いつ、どんな作業をするのか、誰が何を扱うのか、計画性を持った準備風景です。
実は、HR展を引退した高校3年生がこんな感想を寄せています。
☆私は正直、西遠の学園祭が堅苦しく、真面目で嫌いでした。たの学校の文化祭に行くたびに、いいなーと羨ましく思っていました。しかし、6年生になってHR展をやらない立場になり、西遠の学園祭で得られたことは多いと思います。まずはじめに、計画性の大切さです。昨年のHR展は、計画通りに全然進まず、想像と違うものが出来てしまい、後悔しています。計画的に少しずつ協力することの大切さを最後の最後に実感しました。2つ目は、女子の力です。木材や段ボールを切ることなどを女子だけでやることができ、貴重な体験だと思います。私は、ペンキで汚れたズボンや腕を兄に見られて驚かれ、「すごい」と言われました。自分たちが普通だと思っていたことが違う学校の人から見るとびっくりされることに、びっくりしました(笑)。西遠で学んだ力は、きっと一生のどこかで絶対に役立つことがあると思います。
学園祭で得られた力の一つが「計画性の大切さ」という彼女は、実は失敗の中からこの教訓を得ました。
確かに9月末に行われた講堂朝会でも、高3の元責任者たちは「計画性」について反省の弁を語っていました。
その失敗は、彼女たち自身の生活にも生きるでしょうが、後輩へのアドバイスとしても有効に作用しています。
計画性を持って取り組む後輩たちは、紛れもなく、先輩の財産を受け継いでいます。
また、感想の2つ目にある「女子の力」。
これこそが、「新・女子校という選択」にも掲載された西遠の特色ではないでしょうか。
ペンキの汚れは、学園祭前の生徒たちの勲章でもあります。

今年の後輩もまた、いちょう広場で格闘していました。
こうした作業は、教室の中で行われる授業とは違う力を生徒に与えます。
もちろん、女子の得意なコミュニケーション力も発揮されます。
こちらは、学園祭前々日の3年藤組の生徒たち。

「ガーベラ」をテーマに選んだ彼女たちは、夏の暑い日に、代表者が西区のガーベラ農家を訪ねて取材しました。
片道2時間、往復4時間かけて、生徒が訪ねた先のガーベラ農家の鈴木さんは、そんな彼女たちの取材に快く答えてくださっただけでなく、この素敵な花たちをHR展の教室に提供してくださったのでした。

色とりどりのガーベラの花は、学園祭当日、たくさんのお客様を感激させました。
学校の中だけにとどまらない学び、積極的な取材力が、こうして地域の方々との絆を作ることにつながりました。

「新・女子校という選択」の西遠の学園祭についての説明は7行あまりですが、その行間には、こんなにたくさんの生徒たちの取り組みがあります。