小さな白板2024 第10週

図書館入り口に掲げている「小さな白板(ホワイトボード)」、第10週は高校卒業生という大きな節目を迎えた週でした。そして、国際女性デーもありました。女性の生き方についていろいろ考える機会を持った第10週を振り返ります。

3月4日(月)
北帰とふ別離のときは春弥生 鶴は乱舞し点となりゆく
        藤吉宏子

「北帰」とは、北へ帰ること。越冬した鳥たちは、春になると北へ帰っていきます。鶴が乱舞し、やがて空高く点になっていくのを、作者は見つめ続けているのでしょうか。そして、「別離のときは春弥生」という表現は、鳥に対してだけではないはず。卒業式を明日に控えて、別れの時を深く意識する私たちにも共感できる短歌です。

3月5日(火)
また会おう。遠くに行ってもだいじょうぶ。道ってそういうふうにできてる。
        初谷むい

高校卒業式のこの日、図書館を訪れる生徒はきっとほとんどいないのでしょうが、節目の日の短歌選びは時間をかけます。式の「告辞」とはまた違う、私からのメッセージです。今年の白板には、「現代短歌パスポート」で出会った初谷むいさんのこの短歌を書きました。

別れゆく人たちに呼びかけるようなこの歌、「だいじょうぶ」という言葉のなんとあたたかいことでしょう。卒業生の皆さん、きっとまた会えます。だから、安心して、それぞれの道で頑張ってください。

実は、この短歌を白板に書いたのは、前日の夕方。書いたばかりの白板を校長室に立てかけておいた時に、あす巣立つ卒業生2人が校長室を電撃訪問してくれました。7月に亡くなられた海津先生に届ける色紙に、校長先生も一言書いて!といううれしい依頼でした。 私も一言書かせていただきました。その時に、この短歌を書いたばかりの白板を一人が手に取ったのが印象的でした。海津先生も、別れゆく生徒たちの涙に、この短歌みたいな「だいじょうぶ」という言葉をかけるかもしれないな、とふと思いました。

3月6日(水)
おはようがまだかまだかと待っている明日の僕にすべて任せる
        水野葵似

別れの翌日は、元気な歌を。前を向いて歩んでいける短歌を選びました。

「明日の僕」に託す気持ち、皆さんにもありませんか? 朝になればいいことが待っているかも、と思う気持ちは、行き詰った時の大きな打開策でもあります。それでいいんだと思います。
悩んでも「明日の僕」に期待して寝ましょう。「明けない夜はない」という言葉の新しいバージョンにように感じられる短歌です。

3月7日(木)
Women’s rights are NOT negotiable.Women and girls EVERYWHERE deserve to live a life of dignity and respect. Period.Are you with us?
(女性の権利には交渉の余地はありません。どこにいても女性と少女は尊厳と敬意を持って生きる権利があります。以上。私たちと一緒ではありませんか?)
        UN Women

「国際女性デー」を明日に控えて、UN Women の過去のツイートを紹介しました。女性の権利保証への強い決意です。国連が声を挙げています。女性の立場がとても弱い国、女性の権利が虐げられている社会への強い抗議は、決して他人事に終わらせてはいけないことだと思います。

UN Women(国連女性機関)はジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための機関。女性と女児のためのグローバルな支援者として、UN Womenは、世界全域で女性と女児のニーズに応じた変化をさらに加速させるために設立されました。(UN Women 日本事務所のHPより)

3月8日(金)
あふれさくミモザ蜜色 三月八日国際女性デーめぐり来たりぬ
         今井恵子

「短歌研究」2023年5・6月号でこの短歌に出会ったとき、今年の国際女性デーに白板に書こう!と思い、書き留めました。

「国際女性デー」は「ミモザの日」とも呼ばれており、女性デーを象徴する花です。前夜、スーパーの花売り場でミモザを見つけ、「あふれさく」状態ではなかったけれど、この白板の横に飾ろう!と思い、購入しました。一日だけではもったいないので、まだミモザは図書館にあります。生徒の皆さん、図書館で「黄色い花」を見つけてくれましたか?
女性を象徴する花として、西遠にミモザを植えたいなあなんてちょっとした野望を抱いているオオバです。

女子校西遠には、明るく頑張る女子がたくさんいます。5月1日に開催される体育大会、6月5日のパフォーマンス大会に向けて、「実行委員会」が組織されました。彼女たちの企画力・運営力に大いに期待します! 羽ばたけ、未来を拓く女性たち!

3月9日(土)
本気で全力を尽すほど強いものはありません、それはおのづから人に通じます、殊に芸術ではこれ以外に道がありません、ただ巧者だけでやる仕事は結局上手となるに過ぎません。人を動かすのは本気です。
       高村光太郎

私の好きな詩人 高村光太郎の言葉を紹介しました。私は、時々「高村光太郎連翹忌運営委員会のBlog」を訪ね、光太郎関連のイベントなどを読んでいます。毎日綴られるこのブログの著者の小山さんには、その取材力と行動力に圧倒されています。その日のBlogの最後には、光太郎が誰かに宛てた手紙の文面が紹介されています(少し前までは日記でした)。この文章も、1944年6月20日 に書かれた藤間節子宛の書簡から。「本気で全力を尽すほど強いものはありません」「人を動かすのは本気です」という言葉が、時を超えて、ストレートに響いてくるようです。

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気温がぐっと低くなって寒い週末ですが、学園の春の様子も定期的にお届けしますね。

アジサイに、若草色の葉が出ていました。生命力あふれる色です。