このドラマ、推します!

私は昔からテレビが大好きです。特にドラマや映画が好きでした。幼い頃から、基本的にNHKしか見せてもらえない家庭でしたので、見てきたドラマもほぼNHK。「大河ドラマ」は物心ついてからほぼすべて視聴しています。「土曜ドラマ」も好きでしたね。「銀河テレビ小説」ってのも見ていましたねえ。「朝ドラ」は、夏休みなど見られる時に見るものでしたが、今では毎晩就寝前に録画を見るのを楽しみにしています(朝じゃなく夜ドラですね!)。そんな私には、今季、「推し」のドラマが3つあります。ちょっと紹介させてください。

その1 朝ドラ「虎に翼」

4月1日に始まった朝ドラ「虎に翼」は、日本初の女性弁護士となった三淵嘉子(みぶちよしこ)さんをモデルにした猪爪寅子(いのつめともこ)が主人公。伊藤沙莉さんがとても魅力的に演じています。中学入学式でも紹介しましたが、寅子の口癖が「はて?」です。感情的に反論するのではなく、じっと考えて物事の本質を捉えようとする主人公の姿勢は、他者を理解しようとする能力「エンパシー」を感じさせて、今までにはないヒロイン像だなあと思わせます。

この朝ドラ、他にも話題を集めているんですね。先日、朝日新聞夕刊「素粒子」にも取り上げられました。

かつて、4月のこの時期は「婦人週間」でしたが、役目を終えたとして今はない。しかし、78年前女性が初めて選挙権を得て当選した女性衆院議員が39名だったのに対し、現在は48人。「9人しか増えていない」と「素粒子」筆者は嘆きます。そして、

朝ドラ「虎に翼」の寅子は、参政権すらない時代を生きている。「権利の上に眠るな」と、市川房枝さんの声が聞こえる。

と述べています。戦前の日本で、参政権すらない時代に弁護士を目指した主人公たちの姿は、見ている現代の私たちにも、多くのことを訴えます。女性の権利は拡大されたけれど、「権利の上に眠っていないか」と。また、女性が一つ一つの権利を要求して、苦難の末に勝ち得てきた歴史があることも、このドラマは気づかせてくれます。例えば、大学の女子部に女子トイレがあまりに少ないこと。先輩女性たちは道を拓くために、女子トイレという、当たり前に思える施設を求めることから闘っていたのですね。

オープニングのシシヤマザキさんのイラストも、私はとても好きです。法服から花があふれ出すところが特に。

皆さんも「はて?」を連発する主人公を見てみませんか? 女性が女学校に通うこと、お嫁さんになる道を選ばないこと、男子学生しかいなかった大学で学ぶこと…。女性史を知る上でも、このドラマ、私は推します!

その2 大河ドラマ「光る君へ」

今年の大河ドラマは、平安時代が舞台です。主人公は紫式部。まだ、「源氏物語」を執筆するずっと前の「まひろ」(創作上の名前)と呼ばれていた頃を今ドラマで描いています。昨夜は、「紫式部」より一足早く「清少納言」が生まれましたね。生まれたと言っても、おぎゃーと生まれたわけではなく、中宮定子によって名前を付けられたという意味です。文学史をたどりながら、ワクワクして見ています。

音楽もいいですね。特に、テーマ曲が荘厳でダイナミックで、あの反田恭平氏のピアノがもう最高です。生演奏が聴きたくなるほど。というわけで・・・、

今回もサントラCDを買ってしまいました!

音楽は冬野ユミさん。彼女のサントラを買ったのは、「アシガール」に続いて2枚目です。この「光る君へ」には、いろんなジャンルの音楽が入っていて(エレキギターまであります!)、CD1枚でも全く飽きさせません。こんな音楽、どの場面で流れていたっけ?などと考えながら聴いています。もう一回ドラマを見返したくなりますね。

ドラマでは、「大鏡」のエピソードも出てきたり、ここは「源氏物語」につながる場面だなと思ったり、…国語科の教員としては、絶対高校生は見てた方がいいなあと思います。いつもなら、歴史の勉強が進みます、と言いますが、この「光る君へ」は日本史はもちろん古典の勉強も絶対進みます。推します!

その3 プレミアムドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります~」

「舟を編む」(三浦しをん作)は、原作を読んだのもだいぶ前ですが、映画を見たのも結構前で、でも、独特の世界観があって心に残る小説であり、映画でした。今回は、原作にはない女性主人公が出てくるとあって、新たな視点で描かれるのだなと楽しみにしていた半面、ちょっと怖いな(原作がいいから、ドラマで夢を壊されたらいやだな、という意味)と思いながら視聴したドラマでした。結果、見てよかった!と心から思っています。次の日曜が最終回なんて、寂しすぎる…と思っています。

今回、最終回では、原作にはない「コロナ禍」を描くそうです。脚本の蛭田直美さんが、昨日旧ツイッターで、2020年にご自身が入院していた体験とその時の思いを呟かれていて、最終話の中で入院している松本先生(柴田恭兵さんが演じています)の思いも、蛭田さんの実体験から 生まれたのだなとわかりました。原作に新たな視点を加えて味わい深いドラマを作り上げる脚本家さんはじめスタッフの皆さんに心から敬意を表します。

このドラマを見ていると、「言葉」と向き合う真摯さに感動します。襟を正さねばと思います。また、「言葉にならないと分からない」「言葉はあなたの光だ」というようなセリフが繰り返し出てきて、「言葉にすること」にもっとまじめに向かい合わなくてはと背筋が伸びます。一緒に辞書を作り上げているような錯覚に囚われながら、最終回を楽しもうと思います。

旧ツイッター界隈では、「広辞苑」さんまで毎週「#舟を編む」を付けて呟いていて、そこにも辞書愛を感じるのです。というわけで、ファンの多いこのドラマ、私も推します!

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NHKのドラマを三つも紹介してしまいました。お節介ながら、良質のドラマは見た方がいいと思います。登場人物に、劇中の音楽に、タイトルバックに、裏話に、…いろんな点に心動かされることも大事なのではないでしょうか。以上、お付き合いくださり、ありがとうございました。
※私もこのドラマ好き!という方は、ぜひお声掛けてください!語り合いましょう!