図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」。今週は人間関係を隠れたキーワードにして短歌を紹介しました。
11月10日(月)
感嘆符、疑問符という繰り返し君といるとき恋をするとき
近藤史紀

新しい週の始まりには、恋の歌を。恋しい人と一緒にいるとき、! → ? → ! 、と驚きや不安の繰り返しで、心が安らぐ暇もないほどドキドキしています。戸惑い、ときめき、切なさ、不安定さ、高揚感など「恋」として認識するしかないような気持ちの数々を「感嘆符、疑問符という繰り返し」という表現にしてしまうところに惹かれました。
11月11日(火)
私が光ることはないけれどアイドルは光るひかりに振るペンライト
川島結佳子

推しは推せるときに推せ!と言ったのは、市川教頭先生でしたが、推しの気持ちを歌ったこの短歌もいいでしょう? 自分が光らなくても、推しが光ればいいんだ、その推しに向けて揺らすペンライトの光。それもまた推しを輝かせるのです。切ないなあ。推しのいる人は共感できることでしょう。
11月12日(水)
おはようと娘が先に言ったからミルク紅茶を淹れてあげよう
坊真由美

母と子のケンカ後の朝でしょうか。先に娘が「おはよう」と口をきいてきたから、ミルク紅茶を淹れてあげようと思ったお母さん。ミルク紅茶は仲直りの挨拶でしょうか。ミルク紅茶の温かさ、ほんわかする甘さが伝わってきますね。坊真由美さんからプレゼントでいただいた歌集「へしゃげトマト」から紹介しました。坊さん、素敵な歌集をありがとうございました。
11月13日(木)
谷川俊太郎(たにしゅん)の逝きし日の空なほ越えてアトム行かずや青澄む彼方
大塚寅彦

昨年11月13日に亡くなった谷川俊太郎さんの命日、この短歌を紹介しました。谷俊の業績は他分野にわたります。「鉄腕アトム」の主題歌の作詞は、谷川さんでした。
♪空をこえて ラララ星のかなた 行くぞアトム ジェットのかぎり♪
アトムが遥か彼方まで飛んでいく姿を想像し、「青澄む彼方」とその空の広さを思う作者。谷川さんの死を悼んだ短歌は、「短歌研究」2025年1・2月号にたくさん掲載されていました。
11月14日(金)
書くことはかすかな傷をつけること紙に心にときおり深く
千草創一

書くことって、実は傷つくことでもあるのです。通り一遍の、心も動かないような文章を書くのではなく、心を削って、時に自分を傷つけて書くもの。ものを書くときにぜひとも知っていたい感覚、覚悟です。
11月15日(土)
地下鉄で過去や未来に行けるならどっちのホームが混むんだろうね
山下ワードレス

もしも地下鉄に「過去行き」と「未来行き」があったら、皆さんはどちらのホームに行きますか? この短歌を知った時、ぜひ生徒の皆さんに紹介したいと思い、白板に書きました。いろいろ想像したくなる短歌ですね。第25回NHK短歌全国大会の「佳作」となった短歌です。
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今日のモズさん。飛びました!ダメもとと思ってシャッター切ったら、飛んだモズが映っていました!


今日の日本の色カレンダーは、「鶸(ひわ)色」でした。カワラヒワの羽の色、いい色ですね。


西遠の紅葉状況をお知らせします。イチョウは黄色くなってきました。ニシキギは燃えるような赤。モミジはこれからですね。





