小さな白板2025 第41週

図書館入り口に掲げた「小さな白板(ホワイトボード)」。今週は人間関係を隠れたキーワードにして短歌を紹介しました。

新しい週の始まりには、恋の歌を。恋しい人と一緒にいるとき、! → ? → ! 、と驚きや不安の繰り返しで、心が安らぐ暇もないほどドキドキしています。戸惑い、ときめき、切なさ、不安定さ、高揚感など「恋」として認識するしかないような気持ちの数々を「感嘆符、疑問符という繰り返し」という表現にしてしまうところに惹かれました。

推しは推せるときに推せ!と言ったのは、市川教頭先生でしたが、推しの気持ちを歌ったこの短歌もいいでしょう? 自分が光らなくても、推しが光ればいいんだ、その推しに向けて揺らすペンライトの光。それもまた推しを輝かせるのです。切ないなあ。推しのいる人は共感できることでしょう。

母と子のケンカ後の朝でしょうか。先に娘が「おはよう」と口をきいてきたから、ミルク紅茶を淹れてあげようと思ったお母さん。ミルク紅茶は仲直りの挨拶でしょうか。ミルク紅茶の温かさ、ほんわかする甘さが伝わってきますね。坊真由美さんからプレゼントでいただいた歌集「へしゃげトマト」から紹介しました。坊さん、素敵な歌集をありがとうございました。

昨年11月13日に亡くなった谷川俊太郎さんの命日、この短歌を紹介しました。谷俊の業績は他分野にわたります。「鉄腕アトム」の主題歌の作詞は、谷川さんでした。
♪空をこえて ラララ星のかなた 行くぞアトム ジェットのかぎり♪
アトムが遥か彼方まで飛んでいく姿を想像し、「青澄む彼方」とその空の広さを思う作者。谷川さんの死を悼んだ短歌は、「短歌研究」2025年1・2月号にたくさん掲載されていました。

書くことって、実は傷つくことでもあるのです。通り一遍の、心も動かないような文章を書くのではなく、心を削って、時に自分を傷つけて書くもの。ものを書くときにぜひとも知っていたい感覚、覚悟です。

もしも地下鉄に「過去行き」と「未来行き」があったら、皆さんはどちらのホームに行きますか? この短歌を知った時、ぜひ生徒の皆さんに紹介したいと思い、白板に書きました。いろいろ想像したくなる短歌ですね。第25回NHK短歌全国大会の「佳作」となった短歌です。

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今日のモズさん。飛びました!ダメもとと思ってシャッター切ったら、飛んだモズが映っていました!

今日の日本の色カレンダーは、「鶸(ひわ)色」でした。カワラヒワの羽の色、いい色ですね。

西遠の紅葉状況をお知らせします。イチョウは黄色くなってきました。ニシキギは燃えるような赤。モミジはこれからですね。