今週は、ゴールデンウィークのため2日間だけしか学校がありませんでしたので、「小さな白板」は、5月7・8日分の2回です。でも、2日とも、中身は濃密な白板でした。
5月7日(木)
水きよき奥美濃に育つ木のごとくすくすくとしてたくましくあれ
岡野弘彦

この日は延期された体育大会が行われる日とあって、健康的な短歌がいいなあと思って探しておりました。そんな時、歌人の岡野弘彦氏の訃報が飛び込んできました。岡野さんは、1924(大正13)年7月7日に生まれ、釈迢空(折口信夫)の最後の弟子と言われた歌人です。宮中歌会始(うたかいはじめ)の選者も、召人も務められた方で、短歌の大御所のような方でした。私の知っている卒業生の中には、彼の短歌を学びたくて進学先を決めた後輩もいます。
そんな岡野弘彦氏が、4月24日に101歳で亡くなりました。たくさんの後輩歌人がその死をしのび、温厚なお人柄の氏を悼んでいました。
私は彼の短歌をよく知ってるわけではありませんが、校長室の本棚にあった「短歌研究」の中に彼の歌を見つけ、曾孫を詠んだその短歌が、若い世代への応援歌のようであると感じ、体育大会の日の白板に載せることにしました(「短歌研究」2022年4月号)。「すくすくとしてたくましくあれ」の言葉は、大正、昭和、平成、令和と4つの時代を生きた歌人から若い世代へのメッセージとして、ストレートに心に響きます。
5月8日(金)
子どもらの時間おもしろ五十年前も千年前も「おおむかし!」
桑原正紀

いつも、白板に書く短歌の候補は、早めに用意しています。岡野弘彦氏の歌を選んだ時に、同じ「短歌研究」2022年4月号の中から、この短歌を見つけ、愛らしい歌だなあと思って5月8日に書こうと思っておりました。そしたら、前日5月7日に、ある卒業生から手紙が届きました。手紙に、〈知り合いに歌人の先生がいます。第60回迢空賞をとった方で、桑原正樹さんと言います〉と書かれているではありませんか! 私が明日書こうと思っていた短歌の作者が、卒業生のお知り合いだったなんて! そして、迢空賞と言えば、7日の白板の作者 岡野弘彦氏の師 釈迢空(折口信夫)さんの名前を冠した短歌賞です。何という偶然でしょうか。びっくりしました。
子どもにとって、自分の生まれる前は、50年前だろうが1000年前だろうが、全て「おおむかし!」 時間の流れは、大人とは全く違います。それを「おもしろ」と感じて目を細める、作者の優しいまなざしを感じます。お優しい方なんだろうなあ、と想像しました。もしかしたら、この短歌の「子どもら」には手紙の主である彼女のお子さんも入っているかもしれませんね。早速、卒業生にお返事を書かなくてはなりません。楽しい文通が始まりそうです。
なお、桑原正紀さんの迢空賞受賞歌集「麦熟るるころ」は、図書館に購入してもらうことになりました。届くのが楽しみです。
☆ ☆ ☆
生徒の皆さん、ゴールデンウィークも体育大会も終わり、そろそろ「定期テスト」が近づいてきました。「確かな学力」をつけるために、この週末はしっかり努力してくださいね。


